入学や就職に伴い、歓送迎会が増える4月。「アルコールハラスメント」の増加が懸念されている。
【映像】「お酒は凶器」急性アル中 20代が突出して最多(2020年のデータ)
「コールでお酒は凶器に変わる。はじけてしまって死者が出てしまったり」
こう警鐘を鳴らすのは、ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)の代表・今成知美さん。若い世代の飲みすぎによるトラブル増加を危惧している。※ASKは、遺族による団体であるイッキ飲み防止連絡協議会の事務局。
新型コロナの影響により、飲食店が休業・時間短縮を余儀なくされるなか、それに伴って増えたのが自宅での飲み会、いわゆる“宅飲み”。
SNSには、“宅飲み”の様子を撮影した動画や、中には“イッキ飲み”する動画も。人気インフルエンサーもこうした動画を次々と投稿。多いものでは、数百万回再生されるものもあり、結果としてそれが、“アルハラ”の助長につながっているという。
「TikTokやYouTubeなどで、飲み会コールなどが800万回や500万回再生されるということがあって、危険な兆候だなと思っている。命令されているような、『盛り上げるためにも、飲まなければいけない』という形になって、結果的に大量のお酒を飲むことになってしまう」
また、お酒を飲みながらゲームをする、そんな動画が最近若者に人気だというが、注意点も……。
「“すごろく飲み”など『楽しんで飲もうぜ』という感じの動画がすごくでていて。すごろくは、マスの半分以上がお酒を飲ませるマスになっている。小瓶の洋酒、リキュールをコマにして進むが、『乾杯』と書かれたマスに止まると、それをイッキ飲みするみたいな。1回に飲む量は少ないが、15度や20度のお酒で、それをゴールするまでに相当飲むことになってしまう」
飲み会を盛り上げてくれる一方、アルハラの温床にもなりかねないゲーム。今成さんは節度を守った飲み方を心がけてほしいと呼びかける。
2020年に、急性アルコール中毒で搬送された人の年代別の割合では、20代が突出して多かったというデータもある。まん延防止等重点措置が全国で解除され、今後、件数が更に増えることが懸念されている。
“イッキ飲み”により子どもを亡くした遺族らを中心に、これまで活動を行ってきたASK。今成さんは遺族らと接する中、ある種の“危機感”を感じてしまうことが、若者がお酒を飲みすぎてしまう原因になっていると指摘する。
「(若者は)仲間との繋がりというのが一番大事。なので仲間から白い目で見られたり、『何だお前』と思われるのが一番嫌だと思う。飲まなくてはいけないような空気があったり、伝統や部の決まりでそういうものがあったりで、飲まされて亡くなるというパターンもある」
時として、人を殺める凶器にも変わるお酒。今成さんは、“逃げる勇気”をもつことも必要だと訴える。
「万が一、そういう圧力がかかる場所に居合わせた場合に、『嫌だ』と言ってお酒を止められれば一番いいのだが、止められないと思ったら、カッコ悪くていいので逃げてほしい。自分の命を自分で守る。トイレに行く振りをしていなくなってもいいし、カッコ悪くていいので。是非逃げてほしい」
この件について、遺伝子解析ベンチャービジネスを展開する株式会社ジーンクエストの代表取締役・高橋祥子氏は、自身のアルコール耐性について理解しておく必要があると指摘する。
「アルコールに対する体質というのは人によって違う。そもそもお酒が飲めるのかということや、飲める人でも二日酔いになりやすいかどうかということがある。二日酔いになるのは、有毒な物質が体内に残っているということで、お酒による病気のリスクが高くなるタイプの人もいる。さらに、アルコール依存症になりやすいかということにも関わってくるので、自分のアルコール体質は20歳ぐらいには知っておくべき」
また、アルコールにまつわる「飲めば強くなる」という話については、「あれは嘘だ」と否定した。
「お酒に弱いタイプの人が飲んでも、強い人と同じぐらい飲めるようにはならない。アルコールの代謝の遺伝子というものがあって、多少は飲めるようになるが、すごく強くなることはない。"気合いでお酒が飲めるようになる"というのは嘘なので、気をつけていただきたい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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