日立、富士通、NEC…「ジョブ型雇用」を大企業が続々導入する理由
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 大手企業の日立製作所、富士通、NTT、KDDI、NECなどが続々と導入し、話題を集めている「ジョブ型雇用」。新卒一括採用とは異なり、仕事の範囲を明確にすることで専門性を高める方向性の採用方式となっている。勤務時間や勤務場所などを明確に定めた上で雇用契約を結び、別部署への異動や転勤などはなく、昇格・降格も基本的にない。

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 なぜジョブ型雇用を導入する企業が増えているのか。採用された背景、そして日本企業に浸透していくのかについて、ニュース番組『ABEMAヒルズ』はコメンテーターでキャスター取締役CROの石倉秀明氏に話を聞いた。

「ジョブ型雇用は新しい働き方と言われるが、1950年頃にアメリカで生まれた制度だ。当時のアメリカでは人種差別があって、白人優遇でそれ以外の人種は低賃金の仕事が割り当てられていた。そんな人種差別を撤廃する目的で、アメリカのコンサルティング会社がこの制度を作った。能力主義でも成果主義でもない、別物だ」

日立、富士通、NEC…「ジョブ型雇用」を大企業が続々導入する理由
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 大手企業も続々と採用し始めているジョブ型雇用。導入の目的について、石倉氏は「年功序列をどのように廃止するかだ」と見解を述べる。

「メリットで言えば男女格差や雇用形態、年齢を問わないなどがある。ただ、日本がやろうとしているものは、日本流のジョブ型雇用で『年功序列をどう廃止するか』が目的な気がする。具体的にいうと、年功序列でパフォーマンスやスキルの割に給与が上がった、または働かないのに年収が高い上司などを企業からするとどうやって給与を適正にするとか。一方で、仕事ができる若手については、若さを理由にした低給与をどう上げていくか。企業はこれらを是正するためにジョブ型雇用をやりたいのだと思う」

 そうしたやり方でジョブ型雇用は日本に浸透するのだろうか。石倉氏は「ちゃんとしたジョブ型雇用は難しい」とし、その理由を2つあげた。

「1つは今の会社の中で意思決定をする層が年功序列で長く働いて来た人たちなので、その人たちが自分に不利な制度を入れるかは微妙。もう1つは、法的観点からジョブ型雇用がなくなった時に、従業員を解雇することができなくなる。そしたら全員を契約社員にするのか、また新卒はどう扱うのかを考えると現実的には厳しそう。なのでジョブ型雇用という名の年功序列が緩くなった制度になると思う」

 大手企業でも導入されつつあるジョブ型雇用にはまだ課題もありそうだ。(『ABEMAヒルズ』より)

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