実績あるベテランを撃破し、これでレーティングアップに成功か。将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Aリーグ第2試合、チーム永瀬とチーム三浦の対戦が4月23日に放送された。この第1局でチーム永瀬の斎藤明日斗五段(23)が、チーム三浦のリーダー三浦弘行九段(48)に105手で快勝した。この大会ではリーダー永瀬拓矢王座(29)から即戦力というよりも期間中に成長することを求められている斎藤五段だが、経験も実績も豊富な相手に勝利し「今回は永瀬リーダーも少しは褒めてくれるかなと思います」とはにかんだ。
斎藤五段は、現在3人いるタイトルホルダーの一人、永瀬王座からドラフト2巡目で指名を受けてチーム入り。1巡目には3大会連続で指名されたエース増田康宏六段(24)も入り、斎藤五段にとっては年齢が近いながらも、強力かつ背筋が伸びる先輩2人と戦うことになった。チーム羽生との第1試合では連敗スタートながら、決定局となった第8局で今大会初勝利を挙げようやく一息つき、ここからさらに状態を上向かせようというところだった。
対戦相手の三浦九段は順位戦A級にも通算19期在籍したトップ棋士。胸を借りるように先手番から向かっていくと、積極的に自身の研究をぶつけていった。周囲からも珍しい序盤だと声が出る中、がっちりと序盤からペースを握り、永瀬王座からも「これ以上ない序盤」と合格点。中盤以降、少し巻き返されたものの、早々に築いた差が物を言い、そのまま一気に押し切った。「序盤で蓄えた時間でなんとか乗り切ることができました。ひとまず1勝できてよかったです」とはにかむと、敗れた三浦九段も「明らかな作戦負け。準備不足だったと思います」と認めた。
大会前、永瀬王座は「レーティングで斎藤五段が100点上げれば」他の強豪チームを相手にしても優勝候補となれるとコメント。このレーティングは非公式ながら多くの棋士が“現在地”を示すものとして参考にしているが、斎藤五段は全棋士の中で40~50番手といったあたり。頂点には、あの藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)が君臨している。この勝利をきっかけに斎藤五段がどこまで伸びるか、進出を決めた本戦でも注目だ。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)