バックチョークで完全にホールドされ、足はピーンと伸び切って脱力。それでも様子をうかがってなかなか止めないレフェリー。最後はグッタリ“完全失神”という危険な決着をもたらしたレフェリーの判断のタイミング、その難しさが物議を醸している。
4月22日に開催されたONE Championship「Eersel vs. Sadikovic」。チェン・ルイ(中国)とソン・ミンジョン(韓国)の試合は2ラウンド、ソンがバックチョークから鮮やかな1本勝ちを収めた。その一方、失神待ちでなかなかストップしないジャッジを巡り「遅すぎる」「タップに気づかないのか?」「落ちてる落ちてる」とファンの間でストップの判断を巡る論争が巻き起こった。
相手を疲弊させる粘り強さが信条のソン。序盤こそチェンの強打に翻弄されるも、気がつけば主導権を握る試合巧者ぶりを発揮する。ソンはスタンドでの攻防から組み、ねちっこく足払い。"ランニングマン"から"ダブルハート”とニックネームの変更も「強心臓」の自信の表れか。コツコツと返しながらテイクダウンで形勢を逆転し、徐々に相手の体力を削っていく。
すると問題のシーンは2ラウンド残り1分で訪れた。
ソンがケージ際でバックチョークの体勢に入る。ケージに体を被せるように逃げ場を塞ぎつつ、横からガッチリとフックしながら背後から締め上げると、チェンの足がピーンと伸びたままに。すでに意識が遠のいているのか、ダラリと脱力した状態にもかかわらずレフェリーは試合を止めるに至らず様子をうかがう。
するとなかなかストップしないレフェリーの様子に試合を中継したABEMAで実況を務めた西アナは「タップしているようにも見えたが…」とコメント。視聴者からも「極まってる」「終わりだ」「タップしてるだろ…」などの声が。ソンの腕がチェンの首に入ってからおよそ15秒後にチェンは完全失神。勝敗はもちろん、選手の安全を見極めるレフェリングに「遅い」「タップ見逃してなかった?」「落ちてる落ちてる」と批判の声が殺到した。
「タップしてる」との指摘もあったが、別角度からのリプレイ映像では、上から乗られた状態で手が動かせないチェンがタップする場面は確認できなかった。試合後には両選手がサークル中央に戻るのが慣例だが、完全に失神したチェンの姿はそこにはなく「止めるのが遅かったせい」「チェン選手大丈夫かな?」と心配する声も相次いで寄せられた。
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