「髪がない=かわいそうではない 」30年隠してきた“抜毛症”当事者の訴え
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 “人が見た目と違うことは当たり前のことである”と社会が再認識する世の中を目指す。そんな思いで髪の毛に関する悩みを抱える当事者の情報を発信する団体があった。

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 さまざまな理由で髪に症状を持つ当事者と家族のためのコミュニティ「アルペシア スタイル プロジェクト ジャパン(=ASPJ)」の代表理事を務める土屋光子さん。“アルペシア”は髪の毛を失った状態のことを指していて、土屋さん自身も髪の毛を抜いてしまう抜毛症が小学生のころから現れ始めたという。

「抜かないときもあるんですけど、どうしてもストレスが強かったり悩み事があるときに、ずっと抜いてしまうことが癖になってました。生えてくるスピードより抜くスピードが速いので、結果として髪の毛が生えてこなくなってしまったんです。そのため私は、全部髪を剃ってます。そうしないとこの辺(サイド)だけ生えてきちゃうので」

 アルペシアの要因は、先天的なものから治療による副作用といった後天的なものまで様々――。ASPJは当事者やその家族のコミュニティで3600人の登録者がいる。

 ウィッグを着用して生活する人も多いため、あまり見かけることはないものの、髪に関する悩みを持つ人々の数は決して少なくはない。ASPJでは、普段の生活の悩みなどの情報交換のほか、一人ひとりが持つ魅力を表現する撮影会も行っている。

「髪がない=かわいそうではない 」30年隠してきた“抜毛症”当事者の訴え
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「実は30年以上、人に言えずに症状を抱えていたんですけど、そのカミングアウトになったきっかけが撮影だったんです。女性で髪の毛がない方は街中であまり見る機会もないので、突然現れたら皆さんびっくりすると思うんですが、例えばアートな写真とかちょっときれいに作品として展示されていれば『そういうものなのかな』『入りが柔らかくなるな』とその時は思ったんです」

 周囲に打ち明け、前向きになれる人がいる一方で、自分の姿を受け入れられず、悩み続けている人もいると説明する土屋さん。個々の症状や当事者の思いなどを多くの人に知ってもらう必要があるとしている。

 3月27日に行われたアメリカ・アカデミー賞授賞式で、俳優のウィル・スミスがコメディアンのクリス・ロックの顔を平手打ちした。その理由は、脱毛症の妻・ジェイダの髪型を揶揄されたことがきっかけだった。それに対し、土屋さんは「髪の毛を失う症状についてあまり知られていないことが原因にあったのではないか」と指摘した。

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「“髪の毛がない=もてない”とか、皆さんの古い価値観が言葉にくっついてしまっているので、なかなか認知が進まないんですけど、自分ではどうしようもない理由で髪の毛を失う方々が身近にいることを、世の中が知っておかないといけないかなと思っています。団体を始めたきっかけも“髪がない=かわいそう”と思われる世の中を変えたいと思っていたからでした。私たちも見た目にとても気を使いますが、見た目は誰しもが変化していくもの。自分を構成するたった一つの要素の一部でしかないんですよね。髪がないというのは私の一部ではあるけど、私を象徴するものではないと思うので、そういう風に人との違いを悩むのではなくて、お互い違うというのを再認識していく世の中にしていきたいなと思っています」

 疾患を抱える人たちに対して、社会の勝手なネガティブイメージも曖昧で難しいもの。これを受け、『ABEMAヒルズ』に出演した世界ゆるスポーツ協会の代表を務める澤田智洋氏は、「多様性と同様に多面性が大事」だと話す。

「いろんな人がいる“多様性”とひとりの人の中にいろんな面がある“多面性”。この両方がかけ合わさったときに、全ての人が豊かに生きられると思う。例えば、障がいや病気、疾患があったりするとその一面だけがフィーチャーされ、スポットライトが当たってインパクトが残って、その一面以外のその人らしさが度外視されてしまう。人にはいろんな一面もあるから、多面的に見ていく眼差しや姿勢が大事なんだと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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