プロレスリング・ノア初の試みとなった両国国技館2連戦。初日4月29日はジュニア・ヘビー級の大会として開催された。これはノア・ジュニア正規軍の原田大輔、小峠篤司が今年1月に始動させたジュニア主体の新ブランド『N Innovation』によるビッグマッチだ。

 だが、ノア・ジュニア正規軍は屈辱にまみれた。覇王が仁王との敗者リングネーム剥奪マッチに逆転勝ちして名前を死守した以外は全敗。ドラゴンゲートのヒールユニット、Z-Bratsのシュン・スカイウォーカー、H・Y・O、SB KENToを迎え撃った原田&アレハンドロ&宮脇純太は、アレハンドロがシュンの必殺SSWに轟沈。セミファイナルのGHCタッグ戦では小峠篤司&YO―HEYがSTINGERの小川良成&クリス・リッジウェイに敗れて王座を明け渡してしまった。

 メインイベントではSTIGERのHAYATAがペロス軍のEitaを血ダルマにした上でヘデックでキャンバスに脳天を突き刺してGHCジュニア王者に返り咲き。あの無口なHAYATAが「俺がノア・ジュニア最強や。このベルト欲しい奴、誰もでも来い。他団体でもいい。新しいノアを創るのは…俺や!」と宣言したのが印象的だった。終わってみれば、ジュニア大会の主役はシングル&タッグのベルトを手中に収めたSTIGERだったのだ。

 そしてファンを魅了したのはドラゴン・ペイン、アルファ・ウルフ、ニンジャ・マックのリミッターが外れたノンストップの3WAY空中戦。明日はこの3人に吉岡世起に勝ったエクストリーム・タイガーを加えたカルテットが原田&小峠&YO-HEY&宮脇と対戦する。外国人製の空中殺法はもちろんだが、ノア・ジュニア正規軍の巻き返しにも注目だ。

 両国初日はこれだけでは終わらなかった。全試合終了後、バックステージで翌30日大会のメインイベントとして潮崎豪と清宮海斗のGHCヘビー級王座決定戦の調印式が行われたのだ。

 大会3日前の27日、潮崎と防衛戦を行うことになっていた王者・藤田和之の新型コロナウイルスへの感染が判明。同日18時30分から行われた両国2連戦直前記者会見で藤田の王座返上と新王者決定戦の開催が発表され、会見場に独断で現れた清宮が出場権のある潮崎の対戦相手を直訴したものの、武田有弘取締役は「とりあえず持ち帰って協議ということで、今すぐ決めるというのはちょっと難しい」と保留。即決を求めて食い下がる清宮がスタッフに制止されるという一幕があった。

 大会前日になって清宮に決定したのは、清宮がツイッターでファンに後押しを呼びかけて大きな反響があったこと、今年1月4日の後楽園ホールの一騎打ちで清宮が勝っている実績があること、そして杉浦貴&鈴木秀樹に拳王&中嶋勝彦が挑戦するGHCタッグ選手権は変更できないことから清宮以外にいないという結論に達した。なお、当初決まっていた丸藤正道&Xvs清宮&稲村愛輝は、清宮の枠に岡田欣也が名乗り出て、稲村&岡田の2018年同期コンビが結成されることに。岡田にとっては大きなチャンスである。

 こうして決まった潮崎vs清宮の王座決定戦だが、ノアの“その先”を左右するに違いない今回の両国2連戦の大トリを飾ることになったのは運命なのかもしれない。この数年の流れを振り返ると、ノアを体現し、新しい風景を見せてきたのは潮崎と清宮だからだ。

 潮崎と清宮は18年4・11後楽園ホールの『グローバル・タッグリーグ戦2018』優勝戦で杉浦貴&拳王を撃破して優勝。潮崎にとっては09年に三沢光晴のパートナーに抜擢されて以来9年ぶりの優勝で、かつてのホープが新たなホープを引っ張り上げる形になった。その勢いのままに、2人は4・29新潟で中嶋勝彦&マサ北宮のジ・アグレッションからGHCタッグ王座を奪取。この時、王座初戴冠の清宮は21歳9カ月。GHCタイトル史上最年少記録を樹立したのだった。

 清宮は同年11・21会津若松での『グローバル・リーグ戦2018』公式戦においてタイガー・スープレックスで潮崎から初勝利を挙げると上昇気流に乗り、中嶋に勝って初優勝。さらに暮れの12月16日の横浜文化体育館で杉浦からGHCヘビー級王座を奪取して、翌19年には“ノア新時代の若きエース”として6度防衛の快進撃を見せた。

 そんな清宮にストップをかけたのが潮崎だ。20年1・4後楽園ホールでコスチュームを三沢カラーのグリーンに変えた潮崎は、ムーンサルト・プレスで清宮を倒すと「俺がノアだ!」と叫んだ。ここから「アイ・アム・ノア!」が生まれた。

 こうして切磋琢磨する形で新しいノアを切り拓いてきた2人とって試練になったのが昨年2021年。潮崎は2・12日本武道館で武藤敬司に敗れてGHCヘビー級王座から陥落。「GHCを取り返す」と、3・14博多を最後に右上腕二頭筋腱脱臼の手術に踏み切って長期欠場に突入した。一方、清宮はこの博多で武藤に挑戦して敗れて以後、スランプに突入。苦しい1年を送った。

 今年の元日の日本武道館決戦。復帰したばかりの潮崎はGHCヘビー級王者・中嶋に、清宮はナショナル王者・拳王に敗れた。そして、前述のように1・4後楽園で2人は一騎打ちを行っている。タイガー・スープレックスを決めて、紙一重で勝利をモノにした清宮は「もう俺は一歩も引けない。俺もこのノアに人生懸けてんだよ。止まらねぇぞ!」と叫び、敗れた潮崎は「諦めねぇ。必ず立ち上がってやるよ」と唇を噛んだ。

 あれから約4カ月。2人は止まらずに立ち上がり、再びノアの頂に手をかけるところまで這い上がってきた。清宮が「俺たちの世代で新しいノアを見せていきたい。ファンの皆様の思いを背負って、明日のリングに立ちます」と言えば、潮崎は「清宮の熱い思いにリング上でしっかりと応えたいと思う。単純に言わせていただくなら、一生懸命頑張って、このGHCヘビー級のベルトを自分の腰に巻きます」とキッパリ。2人が雌雄を決する明日の両国大会のゴングが鳴るのは15時。試合の模様は「レッスルユニバース」で視聴することができる。ぜひ、潮崎と清宮が体現するノアの未来、新風景…ノアの“轟音のヘビー”を堪能してもらいたい。

文/小佐野景浩 

【視聴する】WRESTLE UNIVERSE presents MAJESTIC 2022|ノア両国大会4・30「轟音のヘビー」| WRESTLE UNIVERSE
【視聴する】WRESTLE UNIVERSE presents MAJESTIC 2022|ノア両国大会4・30「轟音のヘビー」| WRESTLE UNIVERSE