ウクライナが港を失ったら「経済的に窒息死」“侵攻のカギ”はモルドバ東部か

ABEMA Prime
ひろゆき
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 東部と南東部を中心にロシア軍との激戦が続くウクライナ。不穏な空気は西側のモルドバ共和国にも広がっている。モルドバ共和国は、ウクライナ同様、かつての旧ソ連の一部だ。1991年に独立し、現政権は国を挙げてロシア依存の経済脱却、EU=ヨーロッパ連合への加盟を目指している。

【映像】ロシア軍のウクライナ侵攻状況(地図あり)※09:04ごろ〜

 モルドバへのロシア軍介入が現実味を帯びたのは22日、ロシア軍幹部の発言だ。ロシア中央軍管区・ミネカエフ副司令官は「ウクライナ南部を掌握すれば、沿ドニエストル共和国とのアクセスが良くなり、モルドバへの足掛かりになる」と述べた。

 そして25日以降、沿ドニエストル共和国内で、政府庁舎やラジオの電波塔で立て続けに爆発が発生。親ロシア派は「ウクライナによる攻撃だ」と主張したが、ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアが介入の口実を作りたいだけだ」と反論している。

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 ロシアはウクライナだけでなく、モルドバ共和国にも侵攻の手を伸ばすのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、専門家とともに議論を行った。

 在ベラルーシ日本大使館で専門研究員の経験もある、ロシアNIS経済研究所所長の服部倫卓氏は「モルドバという国は、隣のルーマニア人と民族的には同じだ。ルーマニアは、東欧の中のラテンと言われていて、ラテン系の民族。ヨーロッパ同士ではあるが、ロシア、ウクライナとモルドバ、ルーマニアは民族的に異なる。教会は同じ正教会でも、やはり言語が全く違う系統だ」と話す。

 モルドバは2020年11月には、親ロシア路線から親欧米路線のマイア・サンドゥ大統領へと政権交代。さらには今年3月、EUに加盟を申請した。

 ところが、ウクライナと国境を接するモルドバ東部では、親ロシア派が「沿ドニエストル共和国」を名乗り実効支配。治安維持を名目に1500人以上のロシア軍が駐留しているという。

 なぜ、沿ドニエストル共和国という国ができてしまったのか。服部氏は「スターリンが第2次世界大戦でこの地域を奪って、元々のルーマニア人の居住地域とロシア人、ウクライナ人の居住地域を無理やり一緒にして、1つの共和国にしてしまった」と説明。

「非常に不自然で人工的な国をスターリンが作ってしまった。そして、ソ連が崩壊するときに、モルドバが『ソ連から独立したい。なんならルーマニアと統一国家を作りたい』という動きになった。そのときに、沿ドニエストルにいたロシア人、ウクライナ人が危機感を覚えて『自分たちはそれには乗らない。独立したい』となったことが、そもそもの問題だ」

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 ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「ロシアがちぐはぐだ。そもそも論、もうロシアはウクライナとの戦争でも勝てない確率のほうが高い。現実と『これをやりたい』が乖離し始めてるんじゃないかと思う」と指摘。服部氏に「そもそも沿ドニエストル共和国は、ロシアとウクライナ、どちらに主導権があるのか」と質問した。

 服部氏は「モルドバからの独立を宣言して、ロシアの後ろ盾で実質独立状態を維持してきた。沿ドニエストルの現在の立ち位置としては、完全にロシア寄りだ」と回答。その上で「この沿ドニエストル地域にいるロシア軍は精鋭部隊でもなく、1500人と非常に小規模なもの。一方で、いわば背後からウクライナを狙うような形で、オデーサ地域にその部隊が出ていく可能性が取り沙汰されていた」とコメント。

 ウクライナは世界一のヒマワリ油の輸出国であり、小麦やトウモロコシの大輸出国でもある。服部氏は、そういった農産物のおよそ9割が「黒海の港から輸出している」と指摘する。

「ウクライナが黒海への出口を失うと、おそらく経済的に窒息死する。とりわけ重要なのがオデーサという港だ。ウクライナ国家の弱体化を狙っているであろうロシアのプーチン大統領としては、今は東の方のドンバスに全力を注ぐにしても、遠からず視野に入ってくる」

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 服部氏の説明にひろゆき氏は「オデーサを結局ロシア軍は攻めたものの攻めきれなかった。黒海に駐留していた巡洋艦・モスクワもウクライナのミサイルで壊された。制海権も取れていないし、オデーサも取れていない。今後、軍事的にロシアがオデーサを取れる可能性はまだあるのか」と質問。

 これに服部氏は「ロシアはまだ本格的にオデーサを攻めていない」と回答。「現在は5月9日の戦勝記念日に向けた意味合いもあり、東のドンバス地方への戦力の投入に全力を傾注している。いずれどんな形か分からないが、ロシア側の思惑としては、東部の戦線がある程度戦果をあげたら、徐々に西にシフトしていくことを考えているのではないか」と推測した。

 また、服部氏は「ロシア軍も消耗しているとはいえ、たとえば戦車などにしても『必ずしも最新鋭のものを投入しているわけじゃない』と言われている。もちろん損害も大きく、思いのほか苦戦しているが、まだまだ見くびるほどの弱体化はしていないと思う」と、ロシア軍が余力を残している可能性に言及。

 勢力拡大に伴い、日本の北海道にもロシア軍が来る可能性はあるのだろうか。服部氏は「先日まさに『我々は北海道の権利がある』と言ったロシアの政治家がいた。彼らに言わせれば『アイヌ人もロシアの民族だ』というような理由を無理やりつけている。もちろん、実際に攻めてこないとは思うが、そういう不穏な言動には注意しなければならない」と指摘。

 今月1日、ロシア保守政党の党首を務めているセルゲイ・ミロノフ議員は「どの国にも願望があれば、隣国に領土要求を提出することができる。専門家によれば、ロシアは北海道の権利を有している」と発言。ロシアの国内メディア「レグナム通信」などが報じ、注目が集まっている。

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 領土も広く、多民族国家であるロシア。にもかかわらず、なぜプーチン大統領は民族としてのロシア人にこだわり、他国に侵略するのだろうか。

 服部氏は「はっきり言って矛盾していると言えばそれまでだ」とした上で「プーチン大統領が描いているのは、かつての帝政ロシアの最大版図。やはりそれを取り戻したい意識が強いことは否めない。その核をなすのがロシア民族であると。プーチン大統領が言うところのロシア民族は、かつての広い意味でのロシア人。つまりウクライナ人やベラルーシ人も含んだ、広い意味での“偉大なるロシア”だ。しかし、ロシアには200近い民族がいるし、まったく矛盾した話だ。思い込みというか、妄想がとりわけ強いのは事実だ」とコメントした。(「ABEMA Prime」より)

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