大熱戦の末の敗北も、まさかの一芸で大逆転勝ちか…?将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Aリーグ第3試合、チーム羽生とチーム三浦の対戦が4月30日に放送された。試合はフルセットの末にチーム三浦がスコア5-4で勝利し、本戦出場が決定。敗れたチーム羽生は予選敗退となり、明暗くっきり分かれることになった。試合後の収録されたエンディングシーンでは、神妙な面持ちでコメントする棋士が続いた中、チーム羽生の佐藤紳哉七段(44)が持ちネタである「かつら芸」で一太刀浴びせたことで、スタジオ内の空気が一変。チーム三浦のリーダー、三浦弘行九段(44)が「最後に持っていかれた」と“投了”することになった。
チーム羽生とチーム三浦の対決は、大会としては予選Aリーグの最終戦、まだ予選だけでも1/5が終わったところという序盤だが、フルセットまでもつれ込んだ戦いは、どの対局も逆転の連続という屈指の名勝負となった。放送としてはオープニングからエンディングまで6時間超という長丁場になったが、それでもどの一局を取っても息詰まるような戦いだったこともあってか、試合終了後には絶賛の声が相次いだ。
予選通過と敗退、くっきり分かれた試合だけに、終わった後の雰囲気も誰もが言葉を選び、どこか重苦しさまで感じられるところだったが、それを“一手”でガラリと変えたのが佐藤七段だ。もともとイベントや放送対局の際に、勢いよくかつらを飛ばす持ちネタがあり、この試合でも第1局で悲願の大会初勝利を挙げた際には、すぱっと飛ばしていた。するとエンディングでもチーム三浦の3人、さらには決定局で敗れ悔しさを表に出した羽生善治九段(51)の次にあいさつした佐藤七段は「僕としてはいい経験でした。間近で羽生リーダーと(中村)太地君のすごい粘りが見られて、いい環境で戦えて、すごく僕はよかったです」と笑顔で語った後「チーム三浦にひとこと、いいですか」としてから「どうも参りました」と同時に、かつらをポンッ!進行役を務めた香川愛生女流四段(29)がい必死に笑いをこらえる中、中村太地七段は(33)は「(チーム三浦が)苦笑いしてるじゃないですか」、羽生九段も「どう反応していいかわからない(笑)」と続いた。
まさかの奇襲に三浦九段は「最後に持っていかれた」と笑っていたが、振り返ればオープニングシーンでは佐藤七段が、かつらの色を変えたことに対して三浦九段が「佐藤さんのヘアスタイルに元気を分けてもらって、こっちが元気をもらいました。ありがとうございます!」とコメントしていたこともあった。対局だけでもファン大満足の一戦ではあったが舌戦でもまた大いに盛り上げていた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)