初出場・西田拓也五段が2勝の大活躍 兄弟子・糸谷哲郎八段「普段の態度と将棋が一致しない」と脱帽/将棋・ABEMAトーナメント
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 普段は実直、将棋は熱く。そんな西田拓也五段(30)のキャラクターが全開放だ。将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Bリーグ第1試合、チーム糸谷とチーム斎藤の対戦が5月7日に放送され、西田五段は2勝1敗と活躍。チームの逆転勝利に大きく貢献した。この戦いぶりに兄弟子である糸谷哲郎八段(33)は「普段の態度と将棋が一致しない」と脱帽。将棋界の中でも「隠れた実力者」とも言われる西田五段にスポットライトが当たったことを大いに喜んだ。

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 西田五段は2017年4月に四段昇段を果たしプロ入り。毎年のように勝率6割台の成績を残すと、2021年度にはブレイク。44局で34勝10敗、勝率.7727と8割近い勝率を残し、順位戦でもC級1組に昇級を果たした注目の振り飛車党だ。

 最初の出番は第2局。順位戦A級棋士で、2期連続で名人挑戦を果たした斎藤慎太郎八段(29)と戦った。奨励会時代から何局も指してきた間柄。序盤から積極的に押し込み主導権を握ったが、中終盤に入って乱れたところで逆襲を受け、悔しい逆転負け。それでもA級棋士と対等に渡り合う力を見せつけた。

 すると1局指して、超早指しの感覚が掴めてきたのか第4局で佐々木勇気七段(27)と戦うと、気持ちよく手が伸びた。先手番から得意の三間飛車を採用、佐々木七段の居飛車と対抗形になったが、この一局でも序盤からどんどん踏み込み、相手の木村一基九段(48)も思わず「攻める人だなあ」とポツリ。斎藤八段も「迷いなく来るんですよね」と続いた。周囲も驚く攻め将棋が、フィッシャールールで好成績を残し続けてきた佐々木七段に刺さり、71手の快勝譜。「最初から最後まで自分の思い描いた将棋が指せた」と納得の一局になった。

 締め括りは第7局。佐々木七段との再戦だ。スコア3-3と、勝てばチーム勝利に王手がかかる大一番で、今度は後手番から四間飛車。佐々木七段が居飛車の対抗形から進むと、糸谷八段は「この将棋を西田君以上に知っている人はいないんじゃないか」と、絶大な信頼を寄せた。さらに実戦的な鋭い踏み込みを繰り返すと、「西田君、普段の態度と将棋の態度が一致しないからな。西田流ファイヤーマンか」と、燃え盛る男になったと喜んだ。最後まで突っ走るような勢いのある将棋で、この一局でも佐々木七段を豪快に攻め倒し、後のチーム勝利を呼び込んだ。「途中手が震えたりして、あまりない経験でしたけど、勝ててよかったです」。兄弟子が言うように、たくましい指し手とは裏腹に、盤を離れた西田五段は、また穏やかな様子に戻っていた。

◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】逆転勝利を振り返るチーム糸谷
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【動画】大活躍の西田拓也五段
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【動画】試合前から爆笑が起こるチーム糸谷とチーム斎藤
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