たった一度の何気ない投稿が拡散され、二度と消えない黒歴史に――。そんな“デジタルタトゥー”と呼ばれる、ネットの落とし穴に翻弄される若者を取材した。
ブランコにハマり、抜け出せなくなった若者。約8年前に投稿された画像がデジタルタトゥーとして、今もネットで拡散され続けている。
「抜けなくなって、救急車を呼んで救助されたという経緯があって、その時の画像をツイートしたところバズってしまいました。地元の児童公園みたいな所がありまして、そこで友達とサッカーしたり、スポーツして遊んだりしていたんです。座ってしゃべっていたら、友達がふざけて僕のことを(ブランコに)押し込んで、腰骨が返しみたいなことになって、それで抜けなくなってしまいました」
そんな奇想天外な経験をしたと話す笹本裕月さん(24)。その画像が撮影されたのは、彼が高校生の頃だった。友達同士でふざけていた末のハプニング――。自業自得にも思えるが、当時の彼らは大騒ぎになった。その後、救急隊員らが駆け付け、笹本さんは無事救助された。
騒動後、友人が撮影したその画像を何気なく自身のTwitterに投稿。すると、ツイートは瞬く間に拡散され世界中に広がってしまった。慌てて投稿を削除するものの、時すでに遅し……。画像は保存され、SNSや匿名掲示板などに転載。8年経った今も「ネタ画像」として出回っていて、今年4月に投稿されたツイートには5万件もの“いいね”がついていた。
「部活の顧問の先生に『恥ずかしいから消しなさい』と怒られてしまって、ツイートを削除しました。しかし、色々なところで回ってしまったので、消えなくなってしまいました。そんなにバズるとは思ってなくて、普通に挟まってしまって、『救急隊員の方に迷惑かけてしまいました。申し訳ございませんでした』みたいな感じのツイートをしたらそれが予想以上に伸びてしまいました」
あれから8年――。現在は行政書士として活動する笹本さん。今も画像が出回っていることについて、「なんとも思っていない」と話す一方、一度投稿してしまったらそれが残り続けてしまう、ネットの恐ろしさを実感していると話す。かつての自分のように、デジタルタトゥーを残さないために。笹本さんは若い世代に向けて次のように呼びかけた。
「もし何か世間的に伸びるようなツイートや動画とか撮ってしまったのなら、自分の中で楽しむだけにするか、友達に見せたい動画があるのであれば、友達に見せるだけでいいと思います。公にしてしまうと、消えなくなる可能性が今の時代十分に考えられるので、軽率に上げない方がいいかなと思いますね。ブランコとデジタルタトゥーには気を付けてください」
一度ネットに上がってしまうと取り消すことができない、デジタルタトゥーの怖さ。ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターで「やさしいお金の専門家」の横川楓氏は、「前提として余計なことはつぶやかない。最近は、声を上げた方が良いと思うことは言うべきだと思っているけど、炎上しないように気を付けている。また、ツイートはその場でせずに、ほとんど予約投稿にしている」と自身の対策について話す。
また、元SKE48でフリーアナウンサーの柴田阿弥は「私も未だにアイドル時代のおもしろ写真とか、GIFみたいなのがSNSに上がっているけど気にしていないです。何か不適切発言をしたときにメディアは5〜6年前のツイートまで遡ることもあるので、投稿するときは時間を決めるとか、お酒を飲んだときは絶対しないとか気をつけている」と述べた。
SNSを利用する際は、ネットに上がったものは完全に消すことができないことを心に刻んでおくことが大事だ。(『ABEMAヒルズ』より)
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