大谷翔平、監督と仲間の信頼でついに完全復活好調チームの中に広がる“大谷愛”

　エンゼルス大谷翔平投手が、プロ初のグランドスラムを2打席連続アーチで飾った。5月9日（日本時間10日）のレイズ戦、エンゼルスタジアムは大いに沸いた。前日、9回2死から同点とする2点タイムリーツーベースに続き、4打数3安打5打点の大活躍。ようやく打撃が本調子になってきた。

【動画】大谷翔平、キャリア初の満塁弾となった6号

　開幕から1カ月超。思うような結果が出ず、スイング軌道や構えなどを日々、微調整する時期が続いた。最終的には大谷自身の感覚が合致し始めたことが結果につながっているが、好調なチーム状況も復調の要因としては大きかった。実際に大谷は4月下旬、「みんな調子がいいので、そこに救われている部分はあります」と言っていた。

　勢いづき、雰囲気のいいチームを象徴する出来事が「TEAM JAPAN」の結成だった。守護神イグレシアスが発案者で「ショウヘイのために作ったんだ」と同僚に配布。試合前練習では投手陣を中心に、野手のマーシュらも着用。2打席連続＆満塁弾を放った日は、水原通訳も「TEAM JAPAN」スタイルで大谷の練習パートナーを務めた。チーム内に広がる“大谷愛”。もともと、1年目から愛されキャラではあるが、過ごしやすい環境や雰囲気がプレーに好影響をもたらしているのだろう。

　加えて、チームは絶好調。9日の終了時点で貯金9は今季最多で、ア・リーグ西地区の首位を快走する。大谷は調子が上がらない中で、開幕から務めていた1番から打順は変更となったものの、2番、3番、4番と上位で打線の中軸を務めた。マドン監督から信頼を寄せられ、「我慢して使ってもらって、すごく感謝してますし、早くその期待に応えれるようにって思いはあるので」。基本とするセンターから左方向への打撃を取り戻すため、試行錯誤を繰り返した。長打と打点が期待される上位打線を任されたまま、自らの課題克服に取り組めたのも、チームの好調があってこそだった。

　メジャー5年目。エンゼルスに入団して最も楽しいシーズンになっているかとの問いに、こう答えた。

　「そうですね。打撃であんまり結果が出てないとかいろいろありますけど、勝てば気持ちいいかなと思うので、今がずっと続くようにまず頑張りたいですし、悪くなった時にまた踏ん張れるように、頑張りたい」

　勝負どころとなる今季シーズン終盤まで、好調の状態をキープする。昨年、後半戦でチームも自身も失速したことから考えれば、今の状況はむしろプラスかもしれない。いずれにしても、同僚にも支えられながら大谷の打撃が上がってきたことは間違いない。【斎藤庸裕】