プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の2021-22シーズン、TEAM雷電のレギュラーシーズンのポイントは▲1256.1に終わった。全90戦でトップはわずか13回、ラスは倍以上の33回ともなれば、記録的大敗が残っても無理はない。目標としていた初のファイナルシリーズ進出はおろか、レギュラーシーズンでは折り返しを迎えた昨年末あたりから、ずるずると引き離されてしまったチームには、深く「屈辱」の2文字が刻まれた。
KADOKAWAサクラナイツが、涙の初優勝を果たしたその日、TEAM雷電はリーグ発足から4年連続で、戦うことなく最終日を迎えることになった。表彰式前には囲み取材が行われたが、敗退から月日が経ったこともあり、各選手とも落ち着いて話したものの、やはり振り返るうちに屈辱の日々が甦ってきたようだ。
――今期について振り返りをお願いします。
萩原聖人(連盟) 忘れました(笑)。忘れるのが一番だと思って。来年も今期と同じ体制で行けるということで、嫌な思いはすっかり忘れました。ただ全部を忘れるわけにはいかないので、悔しい気持ちだけは残したまま、来期を迎えられればと思います。あんまり、ないんですよ。話すことが。
――今期は開幕ダッシュは決めました。
萩原聖人 僕自身は諦めてはいなかったですけど、中盤以降はなかなかいろいろなことが噛み合わなかったです。麻雀だけじゃなくて、おそらくいろいろなことがチームの中で噛み合わなかった。雷電というチームは、すごく仲がよくて明るいという印象を持たれているし、実際そうなんですが、あそこまでチームが噛み合わないと悪循環みたいな状況が生まれたのも事実で、それに対して選手が対応できていたのか、本当の意味でのチームワークがあったのか。僕らの来期への課題になっていくのかなと思います。
――黒沢さんにとっても苦しいシーズンでした。
黒沢咲(連盟) いくつかチャンスもありました。個人的にきつかったのが、2連投を任せていただいた日にひどい2ラスを引いてしまって、その借金を最後まで返せなくて。チーム全体でも早くから大きなマイナスをしてしまっていたんですけど、どこかで少しずつみんなで踏みとどまっていないといけなかったんですが、それが今年は全然できなくて、すごく残念なシーズンになってしまいました。
――来期もチームは同じ構成で戦うことが発表されました。
黒沢咲 本田(朋広)さんも1年戦ってみて、いろいろなことを感じて吸収したと思います。結構柔軟なタイプなので、2年目はエンジンがかかって突っ走ってくれるんじゃないかな。そういうところも期待しつつ、また同じメンバーでリベンジできることをすごく楽しみにしています。
――先輩から期待の声がかかりました。1年目はどんなシーズンでしたか。
本田朋広(連盟) 新加入して、チームメイトに心配されるような選手になってしまったのが、一番の心残りです。来期はそういうことがなく、少しでも心配させないような結果を残したいなと思いまs。
萩原聖人 こんな状況でも本田の加入は、めちゃくちゃ緩衝材でした。もちろん戦力としてうちは取って今期は振るわなかったですが、本田が入ってくれたことで、すごくチームがうまく行ったことが、たくさんありました。来期は緩衝材いらないんですが(笑)。
――監督の目から見て今期の振り返りをお願いします。また来期、同じメンバーで戦うことについてもお願います。
高柳寛哉監督 来期も同じメンバーで行こうと思った理由が2つありまして、1つは節目の5年目を迎えますし、来期こそもしファイナルに行けないと選手入れ替えが発生する大事な年になるので、創設以来、TEAM雷電というものを一緒に作ってくれたメンバーで戦いたいという思いが強かったです。今年は本当に苦しい状況の中でも支えてくださったファンの方々に対しても、負けっぱなしで終わるんじゃなくて、勝ってリベンジしてこそ恩返しができるんじゃないかと思います。来期に向けては、このまま漫然としていて勝てるとは思っていないので、足りないところをきちんと研究して、努力して臨みたいと思っています。
――Mリーグも4シーズン目が終わりました。リーグ全体の広がりについてどう思われますか。
萩原聖人 4年も続けて、麻雀というゲームの魅力が、今までちょっと違うイメージで見られた方も、この放送を見られて、だいぶ印象は変わったと思います。ただ、もともと4年前に藤田晋さんが掲げた構想にオリンピックというものがあって、僕はオリンピックはもちろんですが、麻雀は世界に通じるような知的エンターテインメントゲームになり得ると思っています。ただ、それに関してはまだまだ時間がかかるし、少しずつ広まっていると思っていますが、まず国内、日本でエンタメといえばMリーグが、野球、サッカー、Mリーグというくらいになっていくように、もっともっとやれることはあるんじゃないかなと。現状で何十万人見てくれたというのもありがたいんですけど、僕自身は全然足らないです。麻雀はもっとすげえと思っています。自分が別の仕事をしている中で、僕も意識の中で5年はやろうと思っていたところがあるんで、まだまだ自分がやりきれなかった部分は来期、全力でぶっ放すつもりでやります。
――他の試合に出場するため欠席した瀬戸熊直樹選手(連盟)の気持ちを代弁願います。
黒沢咲 今リーグ戦で頑張っているんですけど、今年は瀬戸熊さんにとっても本当に本当にきつい一年になって、来期があるかというのをご自身の中では葛藤されていた部分があると思います。また同じメンバーでもう一年頑張ろうという中で、すごくご本人の中でも、来期こそはという気持ちが盛り上がっているので、また力を合わせて4人で頑張っていきたいと思っている、と思います。
萩原聖人 僕ら4人とも漫然と来期の契約ができた、当たり前だと全く思っていないし、歴史的な大敗を喫した以上、残すはその反目を来期表現するしかないという強い気持ちと覚悟を持っています。去年はロケットスタートみたいになって慢心はなかったですが、何か今までと違うみたいな緩みが出たのかもしれないですし、ただこれだけ(下に)振れるってことは逆もあるのが麻雀なので、それが起こるような意識と気持ちと自分たちのポテンシャルを磨いて来期、あの卓に座りたいと思います。
プロ競技として結果が求められる以上、リーグ史上初となる4ケタマイナスでの敗退をしながら、同じメンバーで2022-23シーズンを戦うと決めた覚悟は最低限のメンバーを入れ替えて来期に臨むよりも厳しい視線が注がれる。それを重々承知の上で初のファイナルを目指す4人。来期こそ、この屈辱をバネにスタートダッシュから、そのまま独走するような快進撃ができるか。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019-20シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)