海外から日本競技に対するベッティング規模は5兆円にも… 古田敦也氏、スポーツDXに「やってみる価値ある」
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 コロナ禍で窮地立たされたスポーツ業界でデジタル化による変革化が期待されている。その課題と可能性について取材した。

【映像】古田敦也氏「スポーツDXはやってみる価値はある」

 9日、北京オリンピック・パラリンピックで活躍した日本代表選手団への感謝状授与式で、スポーツのDX化を進めると発言した岸田総理。この日、自民党内でもDXに関するプロジェクトチームが、スポーツ界のデータ活用に関する提言をまとめるなど、デジタル化によるスポーツ界の変革を進める「スポーツDX」への機運が急速に高まっている。

 そのスポーツDXで注目されているのが、競技の勝敗などを予想する賭け「スポーツベッティング」だ。スポーツベッティングがポピュラーとなっている海外では、税収やスポーツビジネスの市場拡大など、様々な効果をもたらしている。また、アメリカのプロバスケットリーグ、NBAでは選手のプレー動画のNFTが販売されるなど、海外のスポーツ界ではデジタル技術の活用が進んでいる。

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 そんな中、日本でも今年、民間企業30社らがデータ活用やスポーツベッティング、NFTなどでスポーツの収益拡大を目指す協議会が設立された。スポーツ産業の振興を目指す、スポーツエコシステム推進協議会の事務局長で西村あさひ法律事務所の稲垣弘則弁護士に、海外でのスポーツDXについて話を聞いた。

「コロナ禍になる前の2018年に、スポーツベッティングをアメリカで禁止してた連邦法が違憲になりました。すでにアメリカのスポーツベッティングの規模は6兆円を超えていると言われていまして、ある試算によると2025年には17兆円にもなると言われています。スポーツベッティングによって得られた収益は、スポーツの振興に使われるだけでなく、教育・福祉・依存症対策に使われています」

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 実は海外のスポーツベッティングでは、日本のスポーツもビジネスの舞台に。海外からの日本の競技への掛け金は5兆円にものぼるといわれ、その分析をするためのデータも自由に取得されるなど、「タダ乗り状態」が続いている現状があると稲垣弁護士は話す。

「そのデータの権利というのが、誰に帰属しているのか。スポーツ団体、チーム、リーグなのか、または選手なのかっていうところとかも、全然整理されていないところでして、そういったデータの権利性を新しく立法したり、少なくとも自主的なルールというのは定めていく必要があるかなと考えています」

 そういったスポーツベッティングで考えたときに八百長や依存症といった懸念はどのような対策を講じていく必要があるのだろうか。

「スポーツベッティングでは、八百長とか依存症の問題が非常に大きいです。実際にアメリカでも100年くらい前に“ブラックソックス事件”という八百長事件が生じており。長らくスポーツベッティングの合法化を阻害していました。2000年代になると、イギリスを中心にオンラインスポーツベッティングが主流になってきて、テクノロジーが発達する中で、八百長自体もテクノロジーを用いて解決する手段が出てくるようになってきています。例えば、八百長の疑いが生じるとアラートを鳴らすシステムを提供する会社などがあり、八百長を防止するシステムが発展してきています。依存症についても、仮に日本で行う場合には、マイナンバーで本人確認を行ったり、未成年者については賭け金の上限を設定するとか、ある程度コントロールすることができるようになると思っています」

 実現すれば、新たなスポーツの楽しみ方によって市場規模が拡大し、スポーツ界への還元も期待されるスポーツDX。そのためには様々な壁やデメリットの問題に対して、時間をかけて解決していく必要があると稲垣弁護士は主張する。

「競技団体においては強化費があります。その強化費を捻出する財源が、東京五輪が終わった今では乏しくなってきています。競技力向上につなげるお金を捻出する意味でも大きな収益源が必要になってきます。競技で勝つということも重要だと思いますが『スポーツの価値はなんだろう』ということも改めて考え直して欲しいです。海外をみるとスポーツが社会貢献を行い、社会課題を課題を解決しているところもあるので、スポーツが産業としてきちんと発展して、日本の社会の豊かさに繋がっていくというところを目指していくのが一つあると思います」

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 今まで、日本のプロスポーツの主な収益源は、放映権収入、チケット収入、グッズ収入、スポンサー収入だった。一方、欧米ではすでにスポーツのデータビジネスやスポーツベッティング、NFTなどが新しい収入源となっている。

 これから日本のスポーツ産業はどうなっていくのか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した、元ヤクルト監督で野球解説者の古田敦也氏はスポーツDXについて次のように話す。

「スポーツは注目され、人が集まらないと、そこにお金が集まらないとその産業というのは廃れていく。特に地方に行ったときに、強化だけでなくインフラを整備するお金が必要になってくるがそれができない。また、部活も縮小されていって地域で面倒見ないといけなくなった場合のお金もどうするのかということにつながる。問題はあるかと思うが、こういったことも含めるとスポーツDXはやってみる価値はある」

 また、スポーツベッティングについて世界をみてみると、日本以外のG7諸国では解禁しているが、日本では禁止されている。それについて、古田氏は「スポーツベッティングも色々問題はあると思うが、やってみる価値は十分にある。日本がやるとしたら後発になる。逆に各国の問題点を見ることができ、対策を練って始められるからいいのでは」と見解を述べた。(『ABEMAヒルズ』より)

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