山口県阿武町で、国の給付金4630万円を誤って一人の町民に送金してしまうミスが起きた。町民の男性には、463世帯分の給付金が振り込まれ、その額は4630万円にのぼる。
【映像】4630万円の誤送金、返還しなかったら…想定される処罰(画像あり)
男性は当初は返す意向を示すも、後日「お金は動かしていて元に戻せない」「罪は償う」と発言。職場を退職し、連絡がとれなくなってしまった。阿武町は給付金全額と弁護士費用など合わせて約5100万円を求め裁判を起こし、男性の氏名を町のホームページに掲載。ホームページはアクセス集中でつながらないほど、今後の展開に注目が集まっている。
阿武町は「SNSを含むさまざまなメディアにおいて、不正確・切り取り・推測・粉飾された情報が流れ、無関係な町民・第三者への名誉毀損・プライバシー侵害などにつながりかねない状況が起こっていた」として、事前に顧問弁護士と相談した上で、氏名を公表したという。また、掲載内容は「すでに町議会で一般に公開された情報」だとした。これにTwitterでは「(名前の)公開は仕方ない」「顔も公開しろ」といった声のほか、「名前を出すのはやりすぎだ」などの意見も寄せられている。
ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「おそらく本人は逃げ切る気で頑張っていると思う」とコメント。「男性が逃げ切るのは難しいと思うが、YouTubeのチャンネルを開設したら100万人登録ぐらいいくと思う。それで元がとれる気がする」と述べた。
一方で、お笑い芸人のケンドーコバヤシは「僕は元々ミスした方にけっこう責任があると思う」と発言。「返還した方がいいと思うが、ただニュースを見たら裁判費用も上乗せされていて、それは町側が払うべきだと思った」と答えた。
作家で元小学校教員の乙武洋匡氏は「そもそも男性がどうすべきか、名前を出すことがやりすぎかといった話をする前に、なぜこういうことが起こらないためのルール作りをしなかったのかが不思議だ。昔も間違った価格を打ち込んでしまって、株がものすごく安く売り出されたことがあった。そういうヒューマンエラーも起こり得るのだから、起こったときにどうするか。そのルール作りが大事だったと思う」と話す。
ジャーナリストの堀潤氏は「僕は町が悪いと思う。ミスして、回収するためのコストや工夫、あと本人が逃げ回っているのであれば、そこに対しての交渉の仕方などはもっと行政が考えるべき。むしろYouTubeチャンネルを開設するなら町の方だろう。『私たちは取り戻せることができるのか?』という動画を見たい。いろいろな人たちが集まって『こういう方法はどうか』『そもそも税金とは何か』『町の入金のあり方はどういう仕組みだったのか』など、逆に町をアピールするチャンスだ。PRしようと思ったら、その額以上の元が取れるのではないか」とコメント。
名前を町のホームページに掲載するのは、法的に問題ないのだろうか。番組が弁護士の深澤諭史氏に話を聞くと「氏名・トラブルの情報等は知られたくない事実。プライバシーの侵害にあたる可能性がある」という。
「議会で公開されていても、一般からのアクセスは難しい。『ある場所(議会)で公だから、別の場所(ネット)で公開してもいい』は間違いだ。『公金』で『被害額が大きい』などの事情で適法の可能性もあるが、この町が公開した理由は不適切だと思う」(弁護士・深澤諭史氏)
(『ABEMA Prime』より)
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