「ロシアの知人にもウクライナの知人にもどう接していいのかわからなくなっている」長引く侵攻に小原ブラス氏の苦しい胸の内

NewsBAR橋下
「ロシアの知人にもウクライナの知人にもどう接していいのかわからなくなっている」長引く侵攻に小原ブラス氏の苦しい胸の内
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 ABEMANewsBAR橋下』にロシア人タレントでコラムニストの小原ブラス氏が出演。日本在住のロシア人としてウクライナ侵攻に関する苦しい胸の内を語った。

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 5歳から日本に暮らし、夏休みになるとロシアにいる祖父母や親戚に会いに行き、現地に知り合いもできるようになったという小原氏。2月24日に始まった侵攻について「朝起きてテレビをつけたらキーウの空港が爆撃されている映像が流れていた。東部地域を越えて、そっちまで侵攻するとは思っていなかったので、“まさか”という気持ちだった。自分が犯罪者になっていたような、そんな気分だ」と振り返り、「もちろんプーチンには腹が立つけれども、ロシア国民が騙されている状況にもすごく腹が立っている」と今の心境を明かす。

 「報道を見ていると、侵攻の理由がどんどん変わっていっていると思う。最初は“NATOの東方拡大が”とか言っていたのが、“東部地域でロシア系住民を迫害しているから”と言ってみたり、“ナチ化が”と言ってみたり。自分はロシアに住んでいる普通の人たちのことを知っているから、皆なんで変に思わへんの?というもどかしさがある。

 僕の知り合いには若い世代が多いし、彼らはVPNに繋いでTwitterや西側のメディアに触れているので、逆に“テレビは見るな”という人もいる。高齢の方々も“自分もプーチンには反対しているよ”という人が比較的多い。でも、僕と連絡を取りあえるということは海外の文化に触れようとしてきた人だということ。決して多数派ではない。大人の中には子どもに対して“デマばかり流れてきて洗脳されるからスマホを見るんじゃない”と言う。

 だから自分の知り合いの中にも、いくら説得してみても“あんたが西側のメディアに洗脳されているんやで”と言われるし、“裏切り者”みたいに言ってくる人もいる。日本にいるロシア人の中にも実はウクライナ侵攻に賛成している人もいるくらいだ。そういう人たちと、どう関わっていっていいのか分からない。それはウクライナの友達に対しても同じで、今は顔向けができない。彼らに僕を憎んでしまう気持ちが起きてもおかしくないし、“僕はこの戦争には反対だし、侵略行為は許せない”と説明するのも押し付けがましい気がするし、そもそも彼らはそれどころじゃない」。

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 さらに小原は「僕は1992年の生まれだが、ソ連が崩壊したのが前年の12月。つまりロシアが最も貧しい、どん底の時代に生まれたということだ。食べ物も家の畑で穫れたトマトとジャガイモを“物々交換”したり、キャットフードの缶詰を食べたりしたという話も聞いた」と話す。

 「当時のロシア人が経験したのが“無秩序”だった。警察が人を適当に捕まえては賄賂を要求する。プーチンが選ばれてからは、乱暴なやり方ではあるが、ある意味で国内の秩序は保たれた。そういうこともあって、かつての社会がどれほど恐ろしいかを経験している30代、40代よりも上の人たちは、弱い指導者が選ばれるのを恐れている。もしプーチンがいなくなったら、カラチャイ・チェルケス共和国やチェチェン共和国など、小さな国々が集まっているロシア連邦が分裂したり、内戦のようなことが起きたりするのではないか。そう思って、プーチンに投票し続けたのだと思う。

 そうは言っても、ウクライナで人々が死んでいる映像を見れば権力がプーチンに一本化された状態は一刻も早く終わりにして欲しい。しかし先程も言ったように、ロシアでは各家庭に畑にするために土地を与えられているので、休日には郊外に出かけて野菜を作っている。若い世代にはすでに売り払った人も多いが、戦争になったときのためにと、昔から地下室に瓶詰めにして置いている家庭もあるし、最近では野菜の種も売れている。こうした習慣をプーチンが利用して、昔の日本の“欲しがりません、勝つまでは”のようにしていく可能性もある。

 あとはスマホに代表されるような便利な暮らしが無くなるのは嫌だという若い世代がどこまで声を上げていけるかだが、ロシアは社会主義のソ連時代から平等である代わりに多様性を認めない社会だった。特に自分のようなゲイは邪魔な存在。ロシアに暮らしていたら、“男らしくあるために頑張っているのに、なんでお前は役割を全うせずに好き放題やっているんだ?”と思われていたと思う」。

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 小原氏の話を聞いた橋下氏は「僕もプーチン政権の行動は絶対に許せないし、国際法違反だ。一方で戦争に限らず、世界で物の見え方が違うということも間違いない」と指摘。

 「トマス・ホッブズの『リヴァイアサン』ではないが、無秩序こそが最悪であって、秩序を保つためだったら、ある意味少しくらい悪い権力だったとしてもあったほうがいいと。でも平和な国から見れば“あんな権力者を讃えてどうするんだ”となるだろうが、旧ソ連の崩壊後を救ったのがプーチンだというのは多くのロシア人が感じていることだと思う。

 そういう、お互いの見え方に関する報道が日本には少ないと思う。僕がロシア人たちの物事の見方、考え方、気持ち、その話をしようとした途端にものすごいバッシングがくるし、小原さんが伝えるのも難しいことだと思う。でも、見え方が違う大前提に立ち、互いに“自分こそ正義だ“と言って折り合いがつかないところを最後にまとめていくのが政治の役割だ」。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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