元王者が何もできず衝撃の左一発で崩れ落ちる大波乱。場内が騒然となる中、放送席からも「全く見えていない音速のパンチ」「おぃおぃ、マジか?!」など驚きの声が上がった。
5月21日に後楽園ホールで開催された「Krush.137」で、元Krush王者の吉岡ビギン(team ALL-WIN)と永坂吏羅(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)が対戦。試合は1ラウンドに2度のダウンを奪われた元王者の吉岡が、2ラウンド1分46秒、左ストレートに全く反応できず壮絶に散る大波乱の結末となった。あまりの衝撃に実況席から「おぃ、おぃマジか!」「信じられない…」といった驚きの言葉が並んだ。
昨年2連勝を飾り、勢いを維持しつつタイトルショットも見えてきた永坂に対して、無敗の6連勝でKrush王者となった吉岡。しかし吉岡は昨年3月、壬生狼一輝とのタイトル戦で契約体重を1.3㎏オーバーする失態を犯し、ハンデ付きの試合でも判定で敗れてKrushバンタム級王座から陥落している。その後は新鋭・璃明武にも判定負けを喫するなど、昨年春から続く低迷から抜け出したい一戦だ。
1ラウンド、テコンドーがルーツにある永坂は、巧みにスイッチを繰り返しながら、横蹴りやローなど独特の距離感と間合いで多彩な蹴りを見せる。永坂のパンチと蹴りをまとめるスピード感ある攻撃に対して、吉岡のキャッチが目立ち始め、注意を受ける場面も。
すると1ラウンド残り1分。前のめりに歩を進める永坂が、左を振り抜き吉岡からダウンを奪う。首を振りながらやや困惑ぎみの吉岡だが、カウントを聞く表情は硬い。ダメージはさほどないように思えた最初のダウンだったが、ラウンド終了間際にコーナーに追い詰められた吉岡は永坂の連打を貰ってスタンディングダウンを宣告さる。
ここはラウンド終了のゴングに救われた吉岡だが、ABEMAで解説を務めた石川直生は「吉岡選手がスタンディングを取られるなんて信じられない」と驚いた様子。すると視聴者からも「完全に呑まれてる」「ビギンがこんなダウンを貰うか」と動揺のコメントが相次いだ。
2ラウンド、序盤の攻勢に手ごたえを感じたか自信満々の表情を浮かべる永坂は、ジワリと吉岡にプレッシャーをかけ右フック、ミドル。さらに急発進からの連打など一気呵成だ。勢いそのままに、永坂は再び吉岡をコーナーに串刺しにしてパンチの連打、ヒザの猛攻を浴びせると、再び左ストレートを打ち抜いて吉岡からダウンを奪った。
手をつきながらカウントを聞くも吉岡は力が入らず、そのまま腰が砕けると、実況席からも「おいおい」「強いな」と言葉が漏れ、この日ゲスト解説を務めた第7代Krushライト級王者の大沢文也も「おぃ、おぃ、マジか?!」と唖然。リプレーでは、伸びのある左ストレートが顔面を捉え、吉岡の首がガクっと落ちる衝撃映像。石川は「当たったところで落ちてましたね…」と驚きを隠せない様子で話した。
前日会見で「(同階級の)スーパーバンタム級の選手が嫉妬するような試合をする」という言葉を有言実行した永坂。見事な戦いぶりに「吏羅ってこんなに強かったか?」「次はタイトル戦でいいだろう」と絶賛の声。ゲストのお笑い芸人・お見送り芸人しんいちも「ジェロム・レ・バンナの黄金の左を思い出しました」と一撃必殺のパンチに言及した。