古書店大手「まんだらけ」(東京都中野区)が東京や大阪の店舗などで違法なアダルト本6冊を販売、約400冊を販売目的で倉庫で保管するなどしたとして、警視庁は27日、同社の社長と社員ら計5人をわいせつ図画有償頒布目的所持などの疑いで書類送検した。
【映像】「ビニ本」って何? 個人の“コレクション”なら「合法」
問題となったアダルト本は1970~80年代に流行した、いわゆるビニール本(ビニ本)と呼ばれる写真誌で、性器が露骨に確認できるものだったという。内容が見えないようにビニールで包装して販売されていたが、このたび書類送検となった。社長は「“芸術としてのエロス”として扱った」と話している。
「まんだらけ」社長らの書類送検に、Twitter上には「ビニ本よりも過激な画像や動画が出回っているのに」「文化的資料に当たるものだと思うが」などの声が寄せられている。
こうしたわいせつな本の取り締まりについて、ニュース番組「ABEMA Prime」が奥村徹弁護士に話を聞くと「性器が露骨に写った本の販売は今でも、昔でも違法だ。ただ、個人としてのコレクションは違法ではない」と回答。
番組に出演したお笑いコンビ・ハライチの岩井勇気は「何を目的として作られたかによるのではないか」とコメント。「芸術といっても後づけになってしまう気がする。ストリップを演劇というのかどうかだ。逆にこのビニ本を芸術と言ってしまうことのほうが、色気がないように見える」と述べた。
また、元経済産業省の官僚で制度アナリストの宇佐美典也氏は「警察が業界を統制する手法として、ナンセンスな規制を課して、その規制を業界に守らせるための団体を作らせて行政的に指導する方法がある」と話す。続けて「性器が露骨に写ってはいけない規制があり、そこだけ隠せばいいのかというとナンセンスだが、そういう規制を設けることで業界に対して『守れ』という指導ができるようになる。今回もそれに近い話だ。ゾーニングをしたいわけだが、それを守らせる他の法律がない」との見方を示した。
昔の性風俗画を描いた「春画」はどうなるのだろうか。番組司会のテレビ朝日・平石直之アナウンサーは「芸術の範疇でいうと、裸体の像をどうするかだ。あるいは宗教画や春画など、こうしたものは教科書にも載っている。この線引きはどう考えたらいいのかは確かにある」と投げかけた。
作品が芸術なのか、わいせつなのか、今後も議論を呼びそうだ。(「ABEMA Prime」より)
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