2012年のオープン以来、東京の観光名所として愛され続けてきた、東京スカイツリー。5月22日に開業10周年を迎えた。
式典の会場では世界一の高さ634メートルに合わせて、来場者634名に記念品のコースターが配られた。その製作には、地元・墨田区で70年以上続く老舗工場たちが総力を挙げて取り組んでいた。
今年4月。スカイツリーの担当者と墨田区の企業が集まり、記念品の作成に向けた打ち合わせが行われた。なぜ今回、地元企業が選ばれたのか。東武タウンソラマチ商業運営本部の山岸健一郎課長は次のように話す。
「施設だけではなくて、地域全体の価値を高めていくことが中長期的には大切になってくる。ものづくりのまち すみだを表現するものとして、革製品は非常に良いなと思っていて、記念品として選ばせていただいた」
“ものづくりのまち すみだ”が一体となって、スカイツリーの思いを形にしていく――。
窓からスカイツリーが望める工場で祖父の代から皮革産業を営む山口産業は、コースターの土台となる素材の製作を担当する。
有害物質を出さない環境にやさしい製法でものづくりのまち すみだを牽引してきた社長の山口明宏さんは「10周年で配布されるコースターの大本になる革がオレンジとネイビーの2色になります。この革製品は、当社だけでは作れなくて5軒6軒、みんなが集結してるのが墨田なんですね」と話す。
今回の革づくりも50年以上使い続けたこだわりの樽を1日10時間以上回し、1カ月の月日をかけて仕上げたという。
「これからの未来を展望できるような。商業施設含めてご使用頂けるっていうのは多くの消費者にアピールできる素晴らしいチャンスだなと捉えています」(山口産業・山口明宏さん)
山口産業で作られた革をコースターに仕上げるのが、1946年創業の二宮五郎商店。熟練の職人の手によって一つ一つ、丁寧に仕上げられていく。
社長の二宮眞一さんは「来た版をそのまま押しただけでは不出来なものができてしまうんですけど、色々金属を裏から当てたりとか、版の断面を4辺削ってるんですよ。最終的にこういう感じで出来ているので、非常に満足いく製品ができていると思います」と説明。
コースター作りの依頼がきたときは、「きたかって感じですね うちの仕事だと思いました。手に取った方が『さすがだな』と思ってもらえるように作っている」と墨田の血が騒いだという。
ともに歩んだ10年――。スカイツリーへの思いもひとしお。それぞれの思いがこもったコースターがついに完成した。
五月晴れに恵まれた10周年当日。東武タウンソラマチ商業運営本部の山岸さんは「今後も魅力ある施設として成長するためには施設だけじゃなくて、地域全体の元気が不可欠と考えています。我々を支えていただいたのはお客様であり、地元のお客様ということになりますので、少しでも御礼というか、お返しができたらいいなと思っています」と述べた。
また、コースターを受け取った人からは、「すごい素敵です。墨田の技術の人が作ったので」「嬉しいですね。皆さん実際に手に触れて伝統工芸も広がっていけばいいと思う」などの喜びのコメントが上がっていた。(『ABEMAヒルズ』より)
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