ホワイトハウスを訪問、アジア系住民へのヘイトクライムの問題についてバイデン大統領と意見交換を行ったBTS。
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新型コロナウイルスの感染が拡大する中、アメリカではアジア系に対する嫌がらせや暴行事件が続発。女性ら8人が銃撃により死亡する事件も起きている。事態を重く見たバイデン大統領は昨年5月、ヘイトクライムの取締強化の法案に署名していた。
一方、「BTSも見た目で笑われる」「意味もなく罵声を浴びせられる」といった言動に心を痛めていたことを告白、差別に反対する声明を発表するなど、アジア系に対するヘイトと闘ってきた。会談に先立ち、JIMINは「ヘイトを止めるために少しでも役に立ちたい。この場を借りて声を上げていきたい」、SUGAも「正しい正しくないではなく、違いを認めることから平等は始まると思う」と呼びかけた。
1日の『ABEMA Prime』に出演したジャーナリストの堀潤氏は「僕がロサンゼルスのコンビニでお酒を買おうとしたとき、IDを忘れたことを告げると、“日本人ならいいか、売ってやるよ”と言われて売ってくれた。“他のアジア人だったらダメなのか”と尋ねると、“まあ、色々ね”と。つまり“アジア系”と言っても非常に多彩だし、そうした人々がアメリカ社会の中で一丸となれるのだろうか、という問題もある」と問題提起。
また、プロスケーターの安藤美姫氏は言葉を選びながらも「平等に戦うというのがスポーツの世界だが、私もティーン・エイジャーの頃にアメリカで買い物をしていたところ、注文をしようとすると無視されたり、代金を手では受け取ってもらえず、お釣りも手渡しをしてもらえなかったりしたことがあった。ただ、そういう対応をしたのは黒人の方が多かった印象がある。やはりアジアンヘイトも人種差別という構造の中でエスカレートして出てきているものだと思っている」と、問題の根深さを示唆。その上でテレビ朝日の平石直之アナウンサーから「差別の連鎖みたいなことになっているのか?」と問われると「個人的にはそう思っている」と応じた。
ニューヨークを拠点に活動しているジャーナリストで作家の安部かすみ氏は「ワシントンポストやCNNなどの主要メディアも大きく取り上げていた。BTSは大人から子どもまで知らない人がいないのではないかというくらい知名度が高いグループなので、彼らが声を上げたこと、それが報道されたことの意味は大きいと思う」と話す。
「排外主義そのものはアジア系移民が入ってくるようになった100年以上前から存在しているし第2次世界大戦中など、それぞれの時代で差別は続いてきたし、それぞれの州が差別問題に関するキャンペーンを行ってきた。また、日本と比べてアメリカはセレブが政治的なトピックに関して意見を発信するのは珍しいことではないし、日系のジョージ・タケイさんなど、ブロードウェイやハリウッドの人たちも発信を続けてきた。
一方で、BTSは今回、“アジア系が一丸となって”という意味の表現をしていたと思う。確かにブラック・ライブズ・マターに比べれば、アジア系の団結力は弱いと思うし、激しい暴行を受けて入院した日本人ジャズ・ミュージシャンの方も“日本人と他のアジア系の団結は弱い”とおっしゃっていた。それでも、ある日系3世の方は、1960〜70年代の公民権運動には中国系や韓国系の人たちが結束して全米で大きなムーブメントにしていったという話もされていた。BTSが発信したからといってすぐに無くなるような簡単な問題ではないが、アジア系差別に関心の高くない人たちに対しても影響力のある彼らの行動には意味があると信じたい」。
堀氏も「翻って日本に目を向けた時、川崎市などではヘイトクライムに対して条例を作って対策をしようという動きがあるが、私たちひとりひとりがアジア系への差別に対処しようとしているかどうかも問われている」と指摘した。(ABEMA Prime』より)
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