“おじさんだから切られる”は過去のもの…ジョブ型の成果主義普及で、日本も40代が引く手あまたに?
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 1日に解禁された、来春卒業予定の大学生らに対する企業の採用活動。日本の高度経済成長を支えた“年功序列”や“終身雇用”の維持が厳しくなり、本格的な“成果主義”の時代が到来しようとしている。

【映像】城繁幸氏による解説

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 2日の『ABEMA Prime』に出演した人事コンサル「Joe’s Labo」代表の城繁幸氏は「年功序列のメリットとしては、マネジメントが非常に楽だということが挙げられる。マネージャーが“あなたは今回、この成績だ。その理由はこうだから”というフィードバックをして納得させなくても、に“お前は勤続年数何年目だからこれだと人事が言ってきた”という“横並び”で済むからだ。

 逆に言えば、“若いうちは丁稚奉公を頑張ってね、今は安月給だけど、20年も経てばポストがあって、給料もこんなに上げられるよ”という説得ができなければならない。つまり会社組織が成長を続け、将来は必ず出世できるという“信頼感”を若い社員に与えられなければ、誰も入社しようとは思わなくなるのがデメリットだ」と説明する。

■“出世レース”が終わってもリベンジができるようになる

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 そこで徐々に普及してきたのが「成果主義」だが、城氏は「最近の流れは90年代のものとは違っていて、流行りのキーワードで言えば“ジョブ型”だといえる。かつての日本の大企業の“成果主義”は年功序列制度のままの成果主義だったので、若手については成果をチェックするものの、例えば50代で管理職になっている社員のような、すでに“上がって”しまっているケースについては見直しをしてこなかった。

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 しかし、これではうまくいかないということで、全員を、同じテーブルで公正に議論しようとしているのが今の“ジョブ型”だ。簡単に説明すると、年功給を一旦リセットし、給料を今やる仕事、ミッションで決める。これこそが年功序列とは対極にあるものだといえる。“若い頃に我慢してきたのに…”、という人にとっては残酷かもしれないが、仕方がない。冷静に考えれば、入社時に20年後にはいくら、30年後にはいくら、そしてこういうポストに就けるなどという契約は交わしていなかったはずだ。日本には生活保護や国民皆保険などの社会保障制度や奨学金もあるわけで、他国に比べれば恵まれている方だと思う。

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 加えて言いたいのは、終身雇用がバラ色でハッピーかといえば、全くそんなことはない。終身雇用というのはジョブ型と異なり、業務や責任が無制限に発生する。だから最近までは残業も青天井の“働かせ放題”だったし、全国転勤にも従わなければならなかった。身体を壊し労災の適応対象になってしまう人もいたわけだし、“karoshi(=過労死)”は英単語にもなっている。終身雇用というのは、そこまでやって守られるものだったわけだ。

 ジョブ型になることで昔のように夢は見られないし、会社にいるだけで出世させてもらえるということはないかもしれないが、少なくとも限界を超えることはない。僕はそれだけでもメリットは大きいと思う。中高年としても、一度リブートすることでバブルの頃の元気を取り戻してもらえるかもしれない。

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 これまでの年功序列の中では、だいたい40歳を過ぎたあたりで“出世レース”は終わり、残りの20年以上は“消化試合”になってしまう。それは本人にとっても組織にとっても、非常にもったいないことだと思う。ジョブ型ならリベンジできる、見方を変えれば再び就活時に戻ることができるという期待をしてもいいのではないか」。

■これからは40代が引く手あまたの時代に?

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 転職エージェントの経験も持つ元経産官僚の宇佐美典也氏は「レイオフがあり、雇用が保障されていない海外に本社がある外資系企業と付き合っていると、内部昇進の無いジョブ型の場合、資格やプロジェクトマネジメント経験をアピールして納得させなければならない。それが徹底した社会で最も困るのは新卒の若者たちだし、だからこそ成果主義の国では若者の失業率が高い。そう考えると、年功序列によって内部で育てようという日本社会は、新卒を守ってきた社会だとも言えると思うし、むしろ若者も利益を得てきたとも言えると思う」と話す。

 その上で「新卒と40代が成果主義で戦ったら、40代の圧勝だろうし、実績や能力のある40代はどこでも活躍できるので、どんどん転職することが可能だ。しかしそうでない人はどこへも行けない。20代で新卒を逃した人、40代の実力が飛び抜けてない人の支援をどうするかが問題になってくるだろう。そして現実には、家族もいる40代は簡単には動けないと、転職控える傾向もあると思う」と指摘した。

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「岸田政権が“新しい資本主義”を掲げ、DX人材に転用するんだ、ということも言っている。しかし“明日からDX人材になりなさい”と言われて、どれくらいの人が応じられるだろうか。特に40代、50代となってくると異様に自意識過剰になってきて、“なんで俺よりも年下の若造が課長なんだ”と言い出すおじさんも出てくる(笑)」とコメント。

 「かつてリクルートが“40歳になったら転職するか起業するか選びなさい”という、事実上“40歳定年制”みたいなことをやっていたが、割に正しかったのではないか。つまりセカンドステージは社内でDX人材になる、ではなく、別の会社で新人として一からやり直す、くらいの方向に持っていかないと、健全な状態にはならないのではないか」と問題提起した。

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 城氏は「確かにヨーロッパでは大学を出たばかりの世代の失業率が最も高く、逆に40代は引く手あまただ。それはやはりジョブ、職歴がモノを言うからだ。日本でも大企業がジョブ型にシフトしていく中、40代が活躍する素地が広がりつつあって、10年前と比べて転職の成功者は1.5倍ぐらいになっている。

 しかも少子化が進んでいるので、60歳以上でも構わないから来てくれという中小企業もいっぱいある。おじさんが年齢を理由に切られるという社会は過去のものになりつつあるし、あぶれる人は最小限に抑えつつ、やる気さえあれば必ず働き口が見つかるという社会にする100年に1度のチャンスが来ていると思う」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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