将棋のヒューリック杯棋聖戦五番勝負の第1局が6月3日に行われ、藤井聡太棋聖(竜王、王位、叡王、王将、19)が挑戦者の永瀬拓矢王座(29)に114手で敗れた。1日で2度も千日手・指し直しとなる異例の開幕局となったが、都合3局目で永瀬王座の手厚い指し回しの前に敗戦。昨年5月に行われたお~いお茶杯王位戦七番勝負の第5局から続いていたタイトル戦での連勝は、羽生善治九段(51)と並ぶ歴代2位タイの「13」で止まった。
【中継】ヒューリック杯棋聖戦 五番勝負 第一局 藤井聡太棋聖 対 永瀬拓矢王座
タイトル戦でも突き抜けた強さを誇ってきた藤井棋聖だが、まさかの事態で歴史に残る連勝がストップした。振り駒の結果、先手番を得た藤井棋聖は相掛かりを選択したが、中盤の譲れない局面で66手目で千日手が成立。先後を入れ替えての指し直しとなった。続く指し直し局は角換わりからのスタートだったが、今度は序盤の53手目でお互いが選んだように、またも千日手に。タイトル戦としては20年ぶりとなる同日2度目の千日手、指し直しとなった。
都合3局目となった再指し直し局は、またも角換わりの出だしになったが中盤の難所で先に持ち時間をほぼ使い果たすと、永瀬王座に1時間以上リードを許し、さらに局面でもじりじりと差を広げられる苦しい展開になった。なんとか打開したい藤井棋聖ではあったが、確実に勝利へと近づく永瀬王座の指し回しの前に逆転には到らず、押し切られた。
終局後、藤井棋聖は「全体としてあまり思わしい展開にできなかったので、しっかり反省して次に臨みたいと思います。(第2局まで)また2週間弱あるので、それに向けて取り組めたらと思います」と語った。
2人は藤井棋聖がプロ入りして間もないころから何局と練習将棋を指してきた研究パートナー。これまでの対戦では7勝3敗と藤井棋聖がリードし、タイトル挑戦をかけた決定戦でも藤井棋聖がことごとく勝利、その後の五冠獲得につなげてきた。ただタイトル戦初対戦となったこの日は、先輩棋士の意地と研究の前に屈する形に。過去8回出場したタイトル戦では全て奪取、防衛に成功している中、第2局以降どんな巻き返しを見せるか。
(ABEMA/将棋チャンネルより)