プロ麻雀リーグ「Mリーグ」2020-21シーズン、準優勝という結果を残したKADOKAWAサクラナイツだが、ニコリともしなかった選手がいる。堀慎吾(協会)だ。優勝しかいらない。2位では意味がない。周囲に気を使ってか、遠回しな表現をする人も多い中、ここまではっきり言う選手も珍しい。ただそれは、チームに加入する時から何も変わっていない。時にビッグマウスという表現もされるが、大風呂敷を広げるというよりも、思っていることをそのまま口にしているだけだろう。2021-22シーズン、念願の優勝を果たし「すごくうれしいです」と満面の笑みを浮かべたが、頂点に行き着くために必要な強さを手に入れるために、努力に努力を重ねた自負があるからこそ、そのうれしさは人一倍だった。
Mリーグ入りしてから、エンタメ性豊かなKADOKAWAサクラナイツというチームカラー、さらにイケメン雀士・内川幸太郎、モデルでもある岡田紗佳、大ベテラン・沢崎誠(いずれも連盟)という個性豊かなメンバーに囲まれた影響もあってか、徐々に堀もこれまで見られなかった一面が出るようになった。決して得意な方ではないが、ファンはそれも理解した上で楽しみ、応援している。華やかな舞台でも自分が打つ麻雀は変わらないとばかりに、2年連続で個人1ケタ順位、3ケタプラスを持ち帰って来た結果は、さすがの一言だ。
運に結果が左右されることも多い麻雀だけに、何かしらのひらめき、センスのようなものにも光が当たることが多いが、堀はあまり興味がない。「そんなに才能とかあんまりいらないというか、努力次第でどうにでもなると思っています」と、正しく積み上げれば強くなれると疑わない。ただし、努力に対しての意識は非常に高い。「麻雀が強くなりたいっていう人、多いじゃないですか。でもその『強くなりたい』という気持ちに、すごく差があるんです」。文字にすれば「強くなりたい」で変わらないが、実のところはまるで違うと言っている。
「1年後にどこかで今より勝てるようになっていなかったら死にますとか、そうなったらみんな必死に努力する。そうなれば強くなるっていうのと同じです。強くなりたいことに差があるんです」。よく使われる言葉で「死に物狂い」というものがあるが、そこまで自分を追い込める人は多くない。むしろ努力している自分を、どこか道半ばで認め、もしくは諦めてしまう人が大半だろう。ただ、堀はとにかく強くなろうとする。強くならなければプロ雀士としての「死」と同じ。それぐらいの気持ちがある。
ファイナルシリーズの最中、足を痛めた。それでも試合に出て、勝って帰ってきた。激痛から脂汗もかくような過酷な状況でも、卓に向かっている時は集中を高め、いつも通りの麻雀を貫いた。2年連続して目の前で優勝をさらわれるような、まさに死にそうなほど悔しい思いをすることを考えれば、足の痛みなど比較にならないだろう。優勝を決めた後の表彰式、けがでステージに上がれない堀は1人で客席に座り、優勝シャーレを掲げる内川、岡田の様子をうれしそうに眺めた。これまでの努力も、足の痛みに耐えたことも、全て報われた、そんな顔だった。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019-20シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)







