4・30プロレスリング・ノア両国国技館大会で、清宮海斗との新王座決定戦を制し、GHCヘビー級チャンピオンに返り咲いた「I am NOAH」こと潮崎豪。6・12「サイバーファイトフェスティバル2022」(さいたまスーパーアリーナ)では、メインイベントで新日本プロレス小島聡を相手に初防衛戦を行うこととなった。
ともにラリアットを必殺技にする者同士の闘い。史上4人目となる主要3団体シングル王座グランドスラム達成を狙い、新日本から乗り込んできた小島聡という外敵を潮崎はどう迎え撃つのか。負けられない一戦への意気込みを聞いた。
― いよいよ6・12「サイバーファイトフェスティバル2022」でのGHCヘビー級タイトルマッチ、小島聡戦が近づいてきましたが、気持ちのたかぶりはいかがですか?
潮崎 タイトル戦が決まってから「まだ時間があるな」と思ってたんですけど、あっと言う間に6月に入って「いよいよだな」という気持ちですね。また今回は挑戦者が小島聡。第3世代と呼ばれる方々の強さを俺は昔から見てきたし、その中でも小島選手は一撃入ると持っていかれるぐらいの勢いを持った選手。その方とのタイトルマッチということで、自分の中の気持ちがどんどん上がっていってますよ。
― 小島選手はここ数年、新日本プロレスのリングで大きなタイトル戦のチャンスに恵まれていませんでしたけど、ここまで前哨戦を闘ってきて、その本来の力というものをあらためて感じていますか?
潮崎 正直、小島選手がノアに上がるようになり、タイトルマッチが決まってからのあの活き活き感、あの強さ、気の盛り上がりというものを見て、やはり人間は気持ちが上がってくると肉体もそれに付いてくるんだな、と。その凄さをいま身を以て感じていますね。
― ここ数年間溜めてきたものを爆発させている感じですよね。
潮崎 俺が言うことじゃないかもしれないけど、そうじゃないと小島選手もいけないだろうし。そうでなければGHCには挑戦できない。それに、まだまだ奥底に引き出す部分があると思うんですよ。あの世代の人たちって、追い込んでから出してくる力に怖いものがあるので。俺は小島聡の強さを完全に引き出した上でGHCを守りたいという気持ちが強いですね。みんなが知らない小島聡が出てくるくらいの試合をした上で勝ちたい。
― やるなら“過去最強の小島聡”に勝ちたい、と。
潮崎 俺は今から10年以上前、新日本プロレスのG1クライマックス公式戦で小島選手とシングルマッチをやってるんですけど。あの時、小島選手の強さ、激しさ、勢い、怖さというものを体感して、「やっぱりすげえな」って思わされたので。あの時の小島選手の勢い、激しさをいままた蘇らせるのがGHC戦だと思いますし、それができるのは俺しかいないと思っています。
― 潮崎選手が対戦した2010年のG1は、小島選手が優勝。つまり“G1王者時代の強さ”を蘇らせた上で勝ってやる、ということですね。
潮崎 そうですね。それがGHCの闘いだと思っていますから。
― 昨年、潮崎選手は2・12日本武道館でのGHC戦で、ある意味、武藤敬司選手を完全復活させるきっかけを作ってしまいましたが……。
潮崎 もう、そんなきっかけはいらないです(苦笑)。よみがえらせた上で、自分が勝たないと意味がないので。ただ、武藤敬司、藤田和之、小島聡といった、以前のノアでは参戦すること自体が考えられなかったような強い人たちと対戦するのは、自分の使命だと思ってるんですよ。そして自分と試合をすることで、あの人たちの強さ、怖さが出てくるということは、それだけ俺がムカつく相手なんでしょうね。
― それは潮崎選手が「I am NOAH」の言葉通りノアの象徴であり、食い甲斐のある相手だからでしょう。
潮崎 それを踏まえた上で、自分はさらに向こうの強さ、実力を引き出した上で、「やり合い尽くす」くらいの闘いをしたい。やっぱりGHCヘビー級タイトルマッチというのは、その選手が持っている実力以上の“その先の何か”までも出し尽くす闘いだと思っているし、俺がデビューしてからずっと観てきたGHCはそうだったので。自分もお互いに力を出し尽くす闘いをやった上で勝ちたいと思います。
― 結果だけでなく、試合内容も「これぞGHCヘビー級タイトルマッチだ」というものを見せたいわけですね。
潮崎 じゃなければ、俺はチャンピオンに勝ってGHCのベルトを巻いているわけじゃないので。結果だけじゃなく試合内容によって、自分がGHC王者なんだということを証明したい。そして常にチャレンジャーの気持ちで防衛し続けることによって、また何かが生まれるかもしれないし、どんどん闘いを高めていきたいですね。
― 今回の対戦相手である小島選手は、共にラリアットをフィニッシュホールドにしているという共通点がありますが、あえてラリアット勝負を挑むこだわりはありますか?
潮崎 やはり俺もラリアットを使うレスラーとして、そこにはこだわりたいし、分厚い壁ですけど、それを打ち破ってこそ必殺技と呼べると思っているので。そこへの挑戦でもありますね。
― 5・21大田区のタッグ前哨戦では、ラリアットで小島選手からピンフォールを奪いましたけど、その直前の相打ちでは潮崎選手のほうが崩れ落ちるというシーンもありました。
潮崎 まだまだ足りないわけですよ。まだまだ俺のラリアットは足りてない。そこを乗り越えた時に、本当の意味で「小島選手に勝った」と言えると思うんでね。試合当日の最後の最後まで精進してラリアットを磨いていきたいと思います。
― そしてこの一戦は、「サイバーファイトフェスティバル2022」のメインイベントでもあります。そこに対する責任感も感じていますか?
潮崎 そうですね。今回はノアだけでなく、DDT、東京女子、ガンバレ☆プロレスが集結する大会のメインなので、他団体に内容で絶対に負けられないし。サイバーファイトフェスは、世界に配信されると聞いていますから、「やっぱりノアはすげえな」「日本のプロレスはすげえな」っていうものを世界に見せつけたいですね。そして自分が勝って締めることで、素晴らしい大会にしたいと思ってます。
取材・文/堀江ガンツ