対局中のパパはちょっと違う!?プロ将棋界唯一の団体戦「第5回ABEMAトーナメント」予選Cリーグ第2試合、チーム広瀬とチーム山崎の対戦が6月4日に放送された。予選突破とチームの勝利がかかった第5局と第8局では、広瀬章人八段(35)VS阿久津主税八段(39)の“パパ対決”が実現。鬼のごとき強さを発揮した広瀬八段が、リーダーとして大きな戦果を持ち帰った。
ともに東京所属の棋士として、プライベートでも親交が深い両者。広瀬八段は「かなりお世話になった先輩の一人。将棋もその他もいろいろと時間を共有したことが思い出深い」と印象を語った。阿久津八段にとってもそれは同じ。2017年に広瀬八段が結婚を発表した際には、自分の結婚式で行った「ブーケトス」ならぬ「ブロッコリートス」が広瀬八段の手に渡ったというエピソードを披露していた。現在はそれぞれ子どもが誕生しており、ブログやTwitterでは時折優しいパパの顔をのぞかせることもある。
そんな両者が激突したのは、チーム広瀬の予選突破決定がかかる第5局と、同じくチーム広瀬の勝利に王手がかかった第8局。1度目の対戦では広瀬八段が勝利。第8局では絶対に負けられない阿久津八段は、横歩取りの出だしから機敏な動きでペースをつかんだ。さわやかなルックスから、独身時代には“東の王子”と言われた阿久津八段。対するは、穏やかな性格から“鷹揚”と称される広瀬八段。表情は冷静ながら熱い闘志を盤上でぶつけ合った。それはチーム広瀬のメンバー・三枚堂達也七段(28)を「この人の終盤は鬼だから!」、同じく青嶋未来六段(27)を「切れ味ヤバイ!」と震えがらせるほど。広瀬八段が粘りの中から一瞬のチャンスをつかんで鋭い手を繰り出し、最後は解説の杉本和陽五段(30)を「作ったような綺麗な詰み」と感嘆させるほどの圧巻の終盤力で阿久津八段を討ち取った。
盤を離れれば、再び優しいパパとリーダーの顔。大一番の仕事を終えた広瀬八段は、「チームの2人が頑張ってくれたという気持ちが強い。私自身も勝ち越せてよかった」と柔らかく笑った。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)