京都新聞が報じた、条例違反者の氏名や事業者名のホームページ上での公表する動きが注目を集めている。
亀岡市では去年6月からプラスチック製レジ袋を無償提供した事業者、京都市では客引き行為や“ゴミ屋敷”居住者の氏名の公表が始まっているほか、京都府も駐車場でアイドリング・ストップをしなかった者の氏名を公表するとしている。
行政の“制裁的公表”に詳しい法政大学の天本哲史教授は「条例というのは地域的課題を解決するために制定されるものだが、氏名公表を定めた条例は全国的に増える傾向にある」と話す。
「公表というのは、法理論的には罰則ではないので法令上の根拠は必要ない。むしろ条例によって枠を定め、適正にやっていこうという姿勢の現れだろう。ただ、結果としてプライバシー侵害で訴えられるケースもある。大学教員である私もそうだが、イメージをもって職業の糧としている人たちにとって、氏名の公表は非常に大きなダメージにつながる。
一方で、度々公表されている者の中には“関係ない”という姿勢の悪質な事業者もいる。あるいは小田原市の場合、住民税の滞納者の公表を定めた条例があるが、実際に公表されたという話は聞かないし、それによって収納率に効果があったかどうかは分からない」。
また、公表は即座に行われるわけではなく、調査・指導、勧告、命令、有識者への諮問、といったプロセスを経てのものだが、ネット時代に氏名が行政に“晒される”ことに問題はないのだろうか。
天本教授は「条例で1年や3年と定めている自治体もあるし、“運用”という形をとっている自治体もあるが、サイト上からの削除については定めをおいていない場合が多い。やはり紙や報道機関を通じた公表であれば一過性になりやすいし、沈静化もしやすい。しかしネットでは掲示し続ける限り拡散を続けるし、キャッシュが残ることで誰か再アップロードする可能性もある。
昨今では『破産者マップ』のように、行政が意図しないような形で情報が使われてしまうケースもある。やはり個人情報の保護を大切にする時代においては、公表という手段を使うか使わないかに関しては慎重な立場で考えていただければと思う」と話していた。(『ABEMA Prime』より)
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