為末大氏がローンの審査落ち、大人気YouTuberでもクレカを持てず…フリーランス時代、金融機関も“信用”の尺度をアップデートすべき?
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 「ローンに落ちました。世知辛い世の中です。頑張って信用を積み上げます」。そんなツイートをしたのは、陸上日本代表としてオリンピックへの出場経験を持ち、現役を退いてからもスポーツコメンテーターとして活躍を続ける為末大氏(44)だ。

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 住宅や自動車ローン、カードローンなど、貸付を受けるための審査は勤務先や年収、支払状況や借入金の有無といった「信用情報」によって判断されることになる。とはいえ、フリーランスや非正規雇用の人たちからは“審査に落ちた”といった悲鳴も少なくない。

 政府が多様な働き方の定着を目指す中、400mハードルの日本記録保持者でもある為末氏でさえ乗り越えられなかった「信用」というハードル。

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 EXIT兼近大樹は「僕は18歳になってすぐにお金を借りて飛んでしまったので、お返しした後もしばらくはクレジットカードが作れないという状態が10年くらい続き、やっと作れたのは30歳になってからだった。今でも住宅ローンなどは組めないだろうと思っていて、親にマンションを買う時も“現金一括”だった」とコメント、

 りんたろー。は「家を買うことを検討していたことがあって、税理士さんにローンについて相談したこともあった。その時に言われたのは、“最後は担当者がEXITのことが好きかどうかだ”と言われた。本当?そんなノリで決まるの?と思ったし、応援される存在で居続けることが大事なんだとわかった(笑)」と振り返る。

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 16日の『ABEMA Prime』に出演した、起業家などの資金調達や融資をサポートしている「SoLabo」の田原広一代表は「金融機関としては、貸したお金を返してくれる人であるのかどうかが最も大きいなポイントになる。元オリンピック選手なら返せるのではないかと思われるかもしれないが、例えば競技と全く関係のないことを始めるという時に、本当に稼げるのかどうかは正直なところ、分からない。為末さんが何のための借入金を必要としていたのかはわからないが、やはり将来にわたる安定性に対する評価がされず、NGになってしまった可能性がある」と話す。

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 「例えば返済期間35年の住宅ローンを組む場合、一定の収入を得続けて、その中から支払を続けていくことが必要になる。そう考えると、月々の収入が不安定な年収360万円の人よりも、月々の収入が安定している年収240万円の人の方が支払遅延のリスクは低いと考えられるので、貸してもらいやすくなる。

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 また、事業用資金の場合についても、金融機関の担当者は稟議書にまとめ、課長や支店長に計画の成功の可能性について報告しなければならない。その時に、担当者が計画について深く理解できていないと、“何これ?よく分からないよ”と言われてNGになってしまう可能性も考えられる。いずれにしろ過去の実績も踏まえるとは思うが、そこと返済能力との関係を合理的に説明する判断材料が足りないとなると、金融機関の担当者としては強くプッシュできないとされてしまうケースは有り得るだろう」。

■SNSのフォロワー数も評価基準にできないか?

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 田原氏の説明を受け、元NHKアナウンサーのジャーナリスト・堀潤氏は「銀行はNHKの職員に対してはむちゃくちゃ安い金利で貸してくれる。僕は2013年に独立して法人を作ったが、あれから10年近くが経とうとする最近になってようやく審査が通るようになってきた。手続きに行くと、“いつも見てます”と言ってもらえることもある(笑)。ただ、金利は高い。やはり職業や後ろ盾によって大きく変わるんだと思う。平石さんも、借りるなら今ですよ(笑)」。

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 そう水を向けられたテレビ朝日平石直之アナウンサーは「堀さんがNHKにいた頃はNHKに対してお金を貸すようなものだったんだろうし、今の私が借りるとしたら、やっぱりテレビ朝日に対して貸すという感覚なんだろうと思う。でも、今や終身雇用の時代じゃないし、30年の住宅ローンを組むというのが無謀なことになりつつあると思う。雨が降ったときにこそ傘を貸して欲しいわけで、人を見て判断して欲しい」と訴える。

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 脳科学者の茂木健一郎氏は「情けない話だなと思う。中国ではAIを使って与信の審査をしているというのに、日本は未だに担保を取ったり、連帯保証人を付けまくったりしていて、古い。あるいは吉本興業で例えると、正社員は借りられたのに、EXITは借りれなかったということが起きるということだ」と問題提起。

 「正社員だから貸すとか。公務員だから貸すとか、そういう“普通”の人は良くて、お笑い芸人やフリーのジャーナリストをやっているとダメだということを続けていれば、日本経済から活気を失われ、発展しない。ブライアン・エプスタインがビートルズのメンバーに背広を着せて髪型を整えさせ、お辞儀をさせたらウケたように、EXITもNHKに出る時にはきちんとした背広を着ていけば一気に信用が高まるということだろうか」。

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 さらに堀氏は「フリーランスになって実感したのは、本当に腕一本で頑張っているひとたちがいるということだ。そういう人たちにこそ、融資ではなく投資のようなローンの組み方を提供できないものだろうか。そして過去3年分の確定申告だけでなく、SNSのフォロワー数など、新しい指標も取り入れられないのだろうか」、りんたろー。も「若い子なら誰でも知っているとんでもないYouTuberであっても家が借りられないとか、クレジットカードを持てないという話もある。だから現金を持ち歩いていると。社会が変わってきている以上、“信用”を図る物差しも変わらなければいけないのかな」と応じた。

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 田原氏は「投資的な意味で積極的にお金を貸す金融機関も増えてきてはいるが、将来の成長について金融機関ではなかなか判断が難しいので、そこはVC(ベンチャー・キャピタル)やエンジェル投資家の仕事になってくる。ただ、こうした状況が日本からユニコーン企業がなかなか出てこない背景にもなっているので、今は業績が悪くても、きっと上場してくれるだろうという、積極的な貸付を銀行も行っていくべきだと思う」とコメント。

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 「あるいは住宅ローンでは過去3年の所得の平均を見ると言われているので、上場企業の役員や社員、あるいは公務員に比べて個人事業主が認められづらいのも、その“結果主義”みたいな部分があるせいだ。やはり”将来”を評価する基準が設定できていない。

 一方で、これは感覚的なものだが、担当者の世代によっても変わってくると思う。仮に担当者がりんたろー。さんのファンであれば頑張ってくれると思うし、SNSの価値みたいなものも認識してくれるはずだ。そうしたことが広がっていけば、良い方向に進んでいくのではないか」。(『ABEMA Prime』より)
 

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