アニメ「キングダム」は、古代中国を舞台に天下の大将軍を志す少年・信(しん)と、後に中国史上初の天下統一を果たす若き王・エイ政(えいせい)の活躍を描く戦国大河ロマンです。アニメ放送は2012年よりスタートし、アニメ化10周年にあたる2022年4月から第4シリーズが放送されました。2024年1月からは第5シリーズが放送です。
原作は原泰久氏が「週刊ヤングジャンプ」(集英社)にて、2006年1月より連載を開始した同名漫画です。70巻まで刊行されているコミックスの累計発行部数一億部を越えています。
今回はアニメ「キングダム」で、物語の鍵を握るキャラクター・成キョウ(せいきょう)のプロフィールや声優をピックアップ。兄であるエイ政や、妻の瑠衣(るい)との関係も解説します。
目次
- 成キョウが登場するアニメ「キングダム」とは
- アニメ「キングダム」成キョウの基本情報!声優などのプロフィールを紹介
- アニメ「キングダム」成キョウはエイ政と敵対する謀反の首謀者
- アニメ「キングダム」成キョウが見せた成長!国のためにエイ政と共闘する
- アニメ「キングダム」成キョウの妻・瑠衣(るい)とは?
- アニメ「キングダム」成キョウのまとめ
成キョウが登場するアニメ「キングダム」とは
アニメ「キングダム」の舞台は、古代中国の春秋戦国時代。下僕として生きる信は、親友の漂(ひょう)とともに大将軍を目指していました。しかし漂は、王弟・成キョウによるクーデターに巻き込まれ、瀕死の重傷を負います。信は漂の遺志を受け継ぎ、託された地図の先で、漂と瓜二つの少年王・エイ政と出会います。
その後は、武将となって各国の将軍らと戦場を駆け抜ける信と、成キョウや呂不韋(りょふい)らの政敵と争いながら後に中華統一を果たす秦国王・エイ政の活躍が描かれます。
アニメ「キングダム」成キョウの基本情報!声優などのプロフィールを紹介
成キョウはストーリーが進むにつれ、人間として大きく成長するキャラクターです。
物語の序盤では、血筋と権力を振りかざして他人を苦しめる悪役でした。しかし、その後に描かれたエピソードでは、エイ政が都を離れる際に王座を任せるほどの頼れる弟に成長しています。エイ政に協力し、国をまとめようと努力する姿勢に惹かれる忠臣も多く、第4シリーズの第5話では信も「お前も大きく変わってたんだな」と成キョウの成長を認めています。嫌われ者から名君へと作中屈指の成長を遂げたのが、この成キョウという人物なのです。
成キョウの基本情報【プロフィール】
成キョウは秦国王・エイ政の異母弟であり、秦国王の父と公主の娘である母を持つ、生粋の王族です。幼い頃から王位継承者としてちやほやされてきた成キョウは、自身の血筋を何よりも誇っています。しかし、趙国出身の兄・エイ政が並外れた王の器を持っていたことで環境が一変。多数の取り巻きを失った成キョウは、庶民を母に持つエイ政を逆恨みし、以降、血筋への執着をこじらせていきます。
成キョウの年齢や身長などの情報は、公式では明かされていません。信とエイ政が出会った時期が、エイ政が13歳で王となった翌年であることから、反乱を起こした際の成キョウの年齢は13歳よりも下ということになります。
第1シリーズにおける成キョウの位置付けは、血統主義をこじらせた悪役です。成キョウはエイ政への妬みを丞相の竭氏(けつし)に利用され、王位を巡って謀反を起こします。その際に、信の親友・漂は命を落としました。
第4シリーズの第5話では、成キョウの妻である瑠衣が「一気にお心に血が通われた」「(エイ政を)兄として王として尊敬していた」と語ったように、成キョウは謀反によって城に幽閉されていた3年間で大きな成長を見せました。第3・第4シリーズではエイ政の勢力拡大に協力し、呂不韋の陣営に対抗できる頼れる相棒として描かれています。
成キョウのモデルとされているのは、史実にも存在する、中国の秦の始皇帝の異母弟・成キョウです。「史記」始皇本紀には、紀元前239年(始皇8年)、長安君成キョウが軍を率いて趙を攻撃したとき、屯留・蒲カクの兵卒を従えて謀反。秦に攻撃された成キョウは、屯留で死んだという記録が残っています。「史記」三家注のひとつ「史記正義」では、成キョウは屯留の城壁の中で自死したと解釈しています。
成キョウの基本情報【声優】
成キョウの声を演じているのは、宮田幸季(みやた こうき)さんです。2007年に第1回声優アワード サブキャラクター賞を受賞し、2014年よりアーティストとしても活躍しています。
成キョウ以外で声を担当するキャラクターには「鬼滅の刃」村田役、「Free!」の似鳥愛一郎役、「BLEACH」の山田花太郎役などがあります。
成キョウの基本情報【実写映画版キャスト】
実写映画で成キョウを演じたのは、本郷奏多(ほんごう かなた)さん。幼稚園の頃よりキッズモデルとして活動。大の甘党で、主食といえるほどお菓子をこよなく愛しています。コミックス原作の作品では“原作ファンとしての視点”を重視し、キャラクターの一番魅力的な部分を大切に演じているほか、アニメの印象が強い作品では声優の台詞回しの研究も熱心にしています。
そのほかのおもな出演作品は「カムカムエヴリバディ」五十嵐文四郎役、実写映画「テニスの王子様」越前リョーマ役、実写映画「進撃の巨人」アルミン役などがあります。
アニメ「キングダム」成キョウはエイ政と敵対する謀反の首謀者
ここからは、エイ政と敵対関係にあったころの成キョウのエピソードを紹介します。
成キョウは臣下を道具のようにあつかう非情な性格でした。第1シリーズ第13話では、王都を奪還するため王宮に乗り込んだ信に対しても「貴様らゴミ虫が俺と同じ場所で息をしている罪で死罪!」など、人を人とも思わぬ発言を繰り返していました。
信に追い詰められた成キョウは、臣下を置いて王の間から1人で逃げ出します。しかし、第1シリーズの第15話にて、辿り着いた広間で兄・エイ政から「お前は生まれの良さが人の価値の全てと勘違いしたただの愚か者だ。お前には決して王などつとまらぬ」「お前は少し人の痛みを知れ」と一喝と制裁を受け、その後は3年間、幽閉されました。
アニメ「キングダム」成キョウが見せた成長!国のためにエイ政と共闘する
幽閉を解かれた後、成キョウはエイ政の器を認め、協力するようになります。ここでは、その頃の成キョウのエピソードを紹介します。
第2シリーズ第38話にて成キョウは再び姿を現し「王国の秩序を正すのは王族としての義務だ」と、自身の派閥全員の解放を条件に、エイ政派勢力の拡大に尽力しました。このときは「庶民の分際で権力の座にあるあの男(呂不韋)の方がさらに我慢ならぬ」と語っていましたが、成キョウを動かすのは呂不韋への敵対心だけではありませんでした。
第4シリーズ第2話では、成キョウの変化を間近に見てきた妻の瑠衣が「もう、玉座だけに執着していた方とは違います」「今の成キョウ様はより国を富ますため強くするための道を――正に聖なる王の道を真剣に模索されてます」とエイ政に語っています。成キョウはかつてのエイ政から受けた一喝により、王への考えを改めていました。元・教育係の寿白(じゅはく)も「成キョウ様が変わられたのでこの陣営も変わった」「今ここには以前存在しなかった忠義がある」と語るほど、多数の忠臣に囲まれていきます。
成キョウは、過去の失敗から多くを学ぶことで、他者のために行動できる思慮深い人間へ変わりました。しかし、第3・第4シリーズで瑠衣のいる屯留が趙に襲われた際、妻を守るために出陣したことにより再度、謀反の疑いをかけられ窮地に陥ります。敵にハメられた成キョウでしたが、深手を負いながらも幽閉された瑠衣を救出。最後まで、瑠衣やエイ政、ひいては秦国の未来を案じていました。
アニメ「キングダム」成キョウの妻・瑠衣(るい)とは?
瑠衣は秦国の都市・屯留出身の姫であり、成キョウの第一夫人です。第4シリーズ第2話では、エイ政の部下が思わず「かわいい」とつぶやくほどの美貌と、感情を素直に表現する天真爛漫な性格の持ち主です。成キョウと瑠衣は幼い頃からの仲であり、瑠衣はエイ政が邯鄲から咸陽へ来たころは「成キョウ様の敵」とよく石を投げていました。
瑠衣は、かなりの世話焼きで心配性な一面があります。第4シリーズ第2話で屯留へ帰郷する際も、「どうかお風邪などひかれませぬように。寝不足もいけません。書を読まれるのもほどほどに。偏食もいけません。野菜もちゃんと食べて下さい。エリが曲がってます」「あと他の女を可愛がるのも嫌です」と、成キョウへ矢継ぎ早にまくしたてていました。
成キョウは鋭い目つきの悪人顔ですが、瑠衣は遠くからそんな成キョウを見つめてぽっと頬を赤らめるほど愛しています。その一途な深い愛で、成キョウが幽閉されても見放すことはありませんでした。第4シリーズ第2話で見せた、実家へ帰るのが寂しいと泣いたり、成キョウが用意した曽祖母の誕生日祝いに感動して抱きついたりする無邪気な一面もある一方で、成キョウの危機を救うために乱戦の最中にも駆け出す勇気を備えています。
瑠衣への愛があふれる名シーンとは?
成キョウと瑠衣の強い絆が見られるエピソードは、「成キョウの変」の終盤が描かれた第4シリーズ第4話から第5話です。瑠衣が帰郷する屯留が趙軍に襲撃された一報を受け、成キョウは王都より出陣。しかし、その襲撃は、秦王家の失墜を目論む呂不韋と、屯留の統治を目論む蒲カク(ほかく)らの策略によるものでした。
謀反の首謀者として投獄された成キョウに、蒲カクは瑠衣への凄惨な仕打ちを予告。成キョウは脱獄して無事に瑠衣を助け出しますが、かなりの深手を負います。第4シリーズ第4話で成キョウは「先に行って助けを呼んでこい」「案ずるな。お前が戻るまでくたばりはせぬ」と瑠衣を先に逃し、続く第5話では追ってきた蒲カクと戦い、勝利します。
同じく第4シリーズ第5話にて、瑠衣が信の率いる飛信隊を連れて戻りますが、ひと足遅く、成キョウは瀕死の重傷を負っていました。成キョウが瑠衣に願ったのは、自分の地盤を引き継ぎ、エイ政の元に一本化することです。兄の中華統一を手助けするよう信に語りかけた成キョウは、最後に「瑠衣…許せ また…苦労をかける」「俺はお前と初めて会った…あの時からずっとお前に惚れている」と瑠衣への想いを打ち明け、笑みを浮かべたまま息を引き取りました。
アニメ「キングダム」成キョウのまとめ
成キョウは、史実に存在する秦の始皇帝の弟・成キョウがモデルとされています。作中では秦国王・エイ政の弟として、王位を狙って謀反を起こしましたが失敗。その後は、献身的な妻の支えのもと、幽閉中に大きく成長し、共通の政敵である呂不韋と争うためにエイ政と手を組みました。一目惚れした妻・瑠衣を心から愛し、身を挺して囚われた妻を救い出した愛妻家です。
戦乱の時代に挫折を乗り越えて、人間として大きく成長する成キョウ。その活躍が見られる「キングダム」の過去シリーズを、いま一度配信でおさらいしてはいかがでしょうか。
(C)原泰久/集英社・キングダム製作委員