DVの相談件数は年々増加し、コロナ禍のいま、年間8万件を超えている。その大半は女性だが、男性からの相談も約25%と無視できない状況になっている。
DVやストーカー被害者などの支援活動を続けるNPO法人「STEP」の栗原理事長は、「男性のDV被害者は増加傾向にある」と話す。
「(男性のDV被害の相談は)かなり増えている。前と比べて3倍くらい。男性加害者として来る人の話を聞くと、女性も口答えをしたり叩き返したりと、かなり喧嘩の状態になっているカップルが多い。昔のように一方的に男性が支配して叩いたり、女性が奴隷のようになっていったりするという状況とはちょっと違った様子が現れている。子どもを産んだ後、男性が家事や育児に協力しないときに妻が『あなたは能のない人間だ』『あなたはお金を出すしか能がない』といった言葉で、男性の生き方や人格を否定していくケースも多い」
「亭主元気で留守がいい」の言葉に代表されるように、DVやモラハラという言葉がなかった時代から邪魔者扱いされるケースもあった男性。大黒柱として存在感があったものの、女性の社会進出によって共働きが当たり前となり、その優位性も薄れているようだ。
「昔は専業主婦が多かったので、男性は自分が食わせている(意識があり)、『誰のお金で食わせてもらってるんだ』と言っていた。しかし、今は女性も働き始めているので、それが言えなくなってきている。そういうところから、女性はお金を出すけど口も出すという傾向がかなり強くなってきている」
栗原理事長は「経済力などで自分が少しでも優れていると感じると相手を馬鹿にしてしまう可能性があり、そこから夫婦間での支配関係が生まれる」と指摘する。優劣ではなく、「違いである」という見方がその支配から抜け出す1つの選択肢になると訴えている。
「“男性が加害者だ”というイメージが強いので、被害を受けていても恥ずかしくて相談することができない。自分だけで捉えてしまって鬱になる男性も多いので、ぜひ恥ずかしがらないで機関に相談をしていただきたい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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