まずはデザイン、そして自分に適したサイズがあるかどうか。そんな流れでお気に入りの一着を決める“洋服選び”。この2つの要素だけで頭を悩ませる人も多いかもしれないが、第一に優先したい「デザイン」を後回しにせざるを得ない人がいる。そんな悩みに注目した新しいサービスが始まっている。
身体が不自由な人にとって自分で着る場合でも、介護者に着させてもらう場合もデザイン以上に重要な要素になり得るという、着やすさ。そんな人々に向け『着たい服を着る日常を、すべての人に。』をスローガンに、服を着やすく直すという日本初のオンラインサービス「キヤスク」を今年3月から始めた代表の前田哲平氏に話を聞いた。
キヤスク・前田哲平代表「例えば障害をお持ちで、肩が上がらなかったりひじが曲がりにくかったりっていう方は、Tシャツとかトレーナーみたいな洋服が着れなかったり、すごく時間がかかったり。着たい服があるけど“着やすさ“を優先に洋服選びをしてるので『着たい服をなかなか着れないで諦めている』ということで、選択肢が少ないことに沢山の方が悩まれてるっていうことを知りました」
以前はユニクロに勤めていたという前田代表。身体の不自由な人向けの洋服は存在する中、様々な状況にある人が、もっと“自分好みの服を自由に選んで毎日を過ごしてほしい“という思いでサービスを立ち上げた。顧客からの細かな要望に応えるサービスに、利用者からは感謝の言葉が寄せられているという。
前田代表「例えば兄弟で長男は健常児、次男は障害児のお母さんで長男に思い入れがある洋服を着せていて、サイズアウトしたから次男にも着せたいけど体が不自由でなかなか着せられない。それを『キヤスク』でお直ししてもらったことで『本当に思い入れのある服を次男にも着せられるようになった』など、いろいろな声をいただいています」
依頼に対応するのは、全国各地にいる「キャスト」と呼ばれるスタッフ。オンラインのサービスでありながら、利用者の思いに寄り添った接客ができているのはこの「キャスト」に理由があった。
前田代表「それぞれの接客はオンラインで、キャストは自宅からやってます。キャスト12人のうちの8人は、実際に障害を持ったお子さんのお母さんが対応しています。お子さんが小さいときにそのキャスト自身が『洋服はなかなか着せてあげたいものが着せられない』という経験をしていて、今度は昔の自分と同じように困っている人に、自分が身につけた技術を提供して、役に立ちたいという方が参加してくださっています」
ニーズがあるのか不安な部分もあったという前田さんだが、当事者や医療従事者からは多くの共感の声が。現状、利益は出ていないものの、いまある注文に丁寧に接客して息の長いサービスにしていきたいと話している。
前田代表「いずれは沢山の人に知ってもらって使って頂ける日が来るんじゃないかなと思っているので、それに向けて焦らずやっていければと思います」
(『ABEMAヒルズ』より)
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