アニメ「進撃の巨人」は、2023年に放送開始から10周年を迎える長期シリーズです。2023年11月4日にNHK総合にて放送された「進撃の巨人 The Final Season 完結編(後編)」にて物語が終幕を迎え、シリーズを通して全94話分が放送されました。
原作は2009年9月から2021年4月まで、「別冊少年マガジン」にて諫山創氏により連載された同名漫画です。コミックスは全34巻が刊行され、電子書籍を含める累計発行部数は世界で1.2億部を突破しています。
「進撃の巨人」に登場する巨人は、アニメ放送開始当初は、その多くが謎に包まれた存在でした。しかし、ストーリーが進むにつれ、さまざまな謎が明らかになりました。この記事では、アニメ「進撃の巨人」に登場する巨人について、その種類やモデルを解説します。
目次
- 人気アニメ「進撃の巨人」とは
- 「進撃の巨人」に登場する“巨人”はどんな存在?
- 無垢の巨人とは?
- 無垢の巨人の種類1:通常種
- 無垢の巨人の種類2:奇行種
- アニメ「進撃の巨人」九つの巨人とは?
- 九つの巨人の種類1:始祖の巨人
- 九つの巨人の種類2:進撃の巨人
- 九つの巨人の種類3:超大型巨人
- 九つの巨人の種類4:鎧の巨人
- 九つの巨人の種類5:女型の巨人
- 九つの巨人の種類6:顎の巨人
- 九つの巨人の種類7:獣の巨人
- 九つの巨人の種類8:車力の巨人
- 九つの巨人の種類9:戦鎚の巨人
- アニメ「進撃の巨人」巨人にはモデルがいる?
- アニメ「進撃の巨人」巨人のまとめ
人気アニメ「進撃の巨人」とは
物語の主人公は、壁に囲まれた町で暮らす、エレン・イェーガーという少年です。壁の外では人間を捕食する巨人が徘徊していて、エレンは壁の外に出て巨人と戦う調査兵団にあこがれていました。
そんなある日、超大型巨人によって壁の一部が壊され、町に大量の巨人が侵入して、エレンの母親が捕食されてしまいます。エレンは「この世から残らず巨人を駆逐すること」を決意し、壁内唯一の武力集団である兵団に所属。訓練兵団から調査兵団へと所属を移しながら、仲間たちとともに命を懸けて壮絶な戦いを繰り広げていきます。
「進撃の巨人」に登場する“巨人”はどんな存在?
巨人は、人間が住む地域を囲う壁の外を無数にうろついていて、人間を捕食する天敵のような存在です。その体は極端に高温で、傷を負わせてもすぐに修復します。巨人を絶命させる唯一の方法は、後頭部からうなじにかけての部分を大きく損傷させることです。調査兵団は立体機動装置と超硬質ブレードを駆使して、巨人のうなじを削ぎ落とすことで巨人に対抗しています。
第37話にて、巨人の正体が人間であることが明かされます。第80話では1800年以上も昔、奴隷の少女ユミル・フリッツが追い詰められて樹洞の中の穴に落ちたとき、ムカデのような生物に出会って能力を得たという“巨人の始まり”が描かれました。
巨人の力は、ユミル・フリッツの子孫であるエルディア人へと受け継がれていきました。時を経て、ユミル・フリッツが持っていた能力は「九つの巨人」と「無垢の巨人」に分散します。現在のエルディア人は自力で巨人になる能力こそ持ちませんが、巨人の能力を持つ人間の“脊髄液”を体内に取り込むと、巨人化できる能力を得ます。
無垢の巨人とは?
「無垢の巨人」とは、知性を持たずに、ただ人間を捕食するだけの巨人です。エレンたちが暮らすパラディ島にいる巨人のほとんどは、この無垢の巨人です。無垢の巨人は、その行動パターンから、おもに兵団員から「通常種」と「奇行種」に区別されています。
サイズにバラつきがあり、小さいものは3m程度で大きいものは15mほどです。消化器官はなく、満腹になると食べたものは吐き出してしまいます。人間がいない壁の外で100年間も存在し続けていることから、食事を摂らなくても生き続けられると推測されています。簡単な言葉を発する巨人もいて、第28話では、巨人にされたコニー・スプリンガーの母親が「オ…アエリ…」(おかえり)とコニーに向かって発言しています。
無垢の巨人の種類1:通常種
無垢の巨人は、人間を見ると一目散に向かってきますが、ほかの生き物には一切興味を示しません。その大きさゆえに動きは遅めで、行動も単純なため、兵団にとっては比較的対応しやすい敵です。
基本的に活動は日中のみで、夜間は動かなくなります。ただし、エレンの異母兄であり獣の巨人の能力を持つジーク・イェーガーの脊髄液を注入された巨人たちは、夜でも活動可能になります。第28話・第29話にて、塔にいた調査兵団を夜間に襲いました。
無垢の巨人の種類2:奇行種
奇行種は眼の前にいる人間よりも、遠くの人間が密集している所を狙ってくるなど、予測しにくい行動をとるのが特徴です。また、通常種より動きが早い者もいて、突然走ったり、ジャンプしたりすることもあります。第17話では、索敵班を無視して陣形の中央に向かってきた女型の巨人のことも、兵団は当初、奇行種と呼んでいました。
アニメ「進撃の巨人」九つの巨人とは?
九つの巨人は無垢の巨人と違って知性を持ち、無意味に人間を食べることはありません。通常は人間の姿をしていて、自傷行為により巨人化します。
巨人の脊髄液によって無垢の巨人となったエルディア人が、九つの巨人の能力を持つ者を捕食することで能力が継承されます。継承されないまま九つの巨人の能力を持つ人が死んだ場合、その後に生まれてくるエルディア人へ無作為に継承されます。
第58話では、九つの巨人を継承すると、寿命が縮まることが描かれました。進撃の巨人の能力を有していたエレン・クルーガーが「九つの巨人の力を継承した者は13年で死ぬ」と語っています。
九つの巨人の種類1:始祖の巨人
始祖の巨人は、最初に巨人能力を手にしたユミル・フリッツが持っていた能力です。作中では、フリッツ家の直系の子孫であるフリーダ・レイスに継承されていました。しかし、エレンの父グリシャ・イェーガーがフリーダを捕食し、その能力を奪ってエレンに継承させます。
始祖の巨人には、巨人を自由に操る「座標」と呼ばれる能力があります。エルディア人の記憶を変える、生殖能力をなくすといった人体改造が可能です。パラディ塔の壁は、過去に始祖の巨人が座標の力を使い、無数の巨人を並べて硬質化させたものでした。
しかし、これらの能力は王家の血をひく者でなければ使えません。エレンも単独では始祖の巨人の能力を使えませんでした。しかし、王家の血をひく異母兄のジークと接触し、ユミル・フリッツと対峙したことで、座標の力をあつかえるようになります。そして、壁を作っていた無数の巨人を動かし「地鳴らし」を発動させました。
九つの巨人の種類2:進撃の巨人
進撃の巨人は、エレン・クルーガーからグリシャへ、そしてエレンへと継承されました。第58話にてエレン・クルーガーは、進撃の巨人について「その巨人はいついかなる時代においても自由を求めて進み続けた」と語っています。
進撃の巨人は、継承者の未来を覗き見ることができます。エレンは第59話で描かれた勲章授与式で、正当なフリッツ王家の継承者であるヒストリア・レイス(クリスタ・レンズ)の手に触れたとき、未来の自分の記憶を見ていました。また、第79話では、エレンの未来の記憶を見たグリシャが、ジークに「エレンを止めてくれ」と頼んでいます。
九つの巨人の種類3:超大型巨人
第1話にて、町を囲う50mの壁の上から頭を覗かせたのが超大型巨人です。その後、門部分を蹴って壁に穴をあけ、無垢の巨人に町を襲わせました。全身から熱風を放ち、巨人化するだけで周囲に激しい爆風を巻き起こすのも超大型巨人の特徴です。
第31話にて、超大型巨人の正体が、エレンと訓練兵団で同期だったベルトルト・フーバーと発覚しました。その後、第55話にて、エレンの幼なじみアルミン・アルレルトが超大型巨人の能力を継承します。
九つの巨人の種類4:鎧の巨人
鎧の巨人は、超硬化ブレードの刃が通らないほど全身が硬い鎧で覆われている巨人です。第2話では、3重の円状になった壁の1番外側にあるウォール・マリアに、勢いよく突っ込んで穴を空けています。第31話では、エレンの同期の調査兵ライナー・ブラウンが、自分が鎧の巨人だと唐突に告白しました。
調査兵団は「雷槍」という、刺さると雷が落ちたように爆発する槍をつくり、鎧の巨人に対抗します。第51話では、鎧の巨人に何本もの雷槍を打ち込み、ダメージを与えました。
九つの巨人の種類5:女型の巨人
ほとんどの巨人が男性のような体つきをしているなか、唯一女性らしい体型をしているのが女型(めがた)の巨人です。叫びによって無垢の巨人をおびき寄せる能力を持ち、第20話では大量の巨人をおびき寄せて自らの体を食べさせました。
第23話で女型の巨人の正体は、訓練兵時代のエレンの同期で、その後は憲兵団に所属していたアニ・レオンハートだと発覚します。アニは幼い頃から父親に格闘技を仕込まれていて、女型の巨人も非常に機動力・持続力が高くなっています。
九つの巨人の種類6:顎の巨人
顎(あぎと)の巨人は、ほかの九つの巨人に比べて小型で、身軽な動きが可能です。最大の特徴は頑丈な顎で、第66話では戦鎚の巨人の能力による硬化物質を噛み砕きました。
顎の巨人の能力は当初、パラディ島のエルディア人を殲滅するために、マーレから派遣されたマルセル・ガリア―ドが保持していました。その後、無垢の巨人となっていたユミルが捕食し、さらに、マルセルの弟であるポルコ・ガリアードへ継承されます。最終的に、第78話にてジークの叫びによって巨人化したファルコ・グライスがポルコを捕食し、顎の巨人の能力を受け継ぎました。
九つの巨人の種類7:獣の巨人
獣の巨人は、猿のように全身が毛で覆われている巨人です。エルディアを敵視するマーレの配下にあるエルディア人であり、ジークが父のように慕っていたトム・クサヴァーからジークへと継承されました。
獣の巨人の能力を得たジークは、ジークの脊髄液を取り込ませた人間を叫びによって自由なタイミングで巨人化できるようになりました。ただし、この能力は獣の巨人固有の能力ではなく、王家の血を引いているジークだけが使えるようです。
九つの巨人の種類8:車力の巨人
巨人は基本的に二足歩行ですが、この車力の巨人は四足で歩行するのが最大の特徴です。戦闘時は、第66話で見られるように顔に仮面をつけ、大砲を背中に背負います。
車力の巨人の能力は、マーレ配下のエルディア人であるピーク・フィンガーが所持しています。2ヶ月も巨人のままでいたこともあるようで、第61話では「人間に戻るのは2ヶ月ぶりだからね。そのたびに二足歩行を忘れてしまうよ」と話しています。
九つの巨人の種類9:戦鎚の巨人
戦鎚の巨人は、素早く硬化物質を作り操れる能力を持ち、槍のような細い棒やハンマーを作って戦います。第65話では硬化物質で巨大な柱を一瞬で作り、巨人化したエレンの体を貫きました。
戦鎚の巨人の能力は、100年前にエルディア人を撃退したとされるダイバー家の、現当主の妹であるラーラ・ダイバーが保持していました。第66話では、エレンが全身を硬質化物質で覆ったラーラを顎の巨人を使って砕き、戦鎚の巨人の能力を奪っています。
アニメ「進撃の巨人」巨人にはモデルがいる?
「進撃の巨人」では、進撃の巨人であるエレンが、女形の巨人や鎧の巨人などと肉弾戦で戦うシーンがたびたび描かれています。原作者の諫山氏は格闘技が好きで、漫画にも実際の格闘技の技を取り入れたくて「進撃の巨人」に巨人同士の格闘シーンを作ったそうです。
格闘技団体ONE Championshipの公式You Tubeで公開されている格闘家のデメトリアス・ジョンソン氏との対談のなかで、諫山氏は「巨人化したエレンのモデルは、格闘家の五味隆典選手」であることを明かしています。サウスポーのかまえや戦闘スタイルなどを、漫画のなかに取り入れているそうです。
アニメ「進撃の巨人」巨人のまとめ
巨人には、知性を持たない無垢の巨人と、特殊な能力を持つ九つの巨人がいます。そして、九つの巨人は、さまざまなキャラクターがその能力を継承し、使いこなしています。巨人の能力自体は、始祖ユミル・フリッツから脈々と継承されたもので、作中でも途中で能力の使い手が変わったこともあります。
2023年で10周年を迎える「進撃の巨人」は、長く続いてきた作品だけに、誰がどんな能力を持っていたか忘れているかもあるかもしれません。この記事を読んで巨人の特徴や能力をおさらいし、完結した「進撃の巨人」を楽しみましょう。
(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会
アニメ「進撃の巨人」The Final Season完結編にあたるエピソード(動画リンクつき)
完結編(前編) | |
---|---|
88 | 地鳴らし |
89 | 自由の翼 |
90 | 絶望の淵にて |
完結編(後編) | |
91 | 天と地の戦い |
92 | 心臓を捧げよ |
93 | 長い夢 |
94 | あの丘の木に向かって |