選挙権を持つ高校生に向けた参議院選挙の啓発ポスター。内容には、参院選の日程や投票の仕方など、ごく基本的な情報が記述してあるにすぎない。
宮城県内の進学校に通う女子生徒が、先月、この手作りのポスターを校内に掲示したところ、生徒指導部長の教師から、思いもよらぬ指摘があった。
「この参院選という言葉が入っているから、これは政治的活動等だと言われて、参院選という言葉を入れないでくれと言われた」(ポスターを貼った女子生徒)
そして、ポスターを剝がすように指示されたという。“政治的活動”について、教師は「学校内での政治的活動等は一切禁止されています。参院選という言葉は選挙に絡んでいるので、政治的活動等に当たると思います」と主張していた。
校則で決められているという「政治的活動の禁止」。ただ、ポスターの記述がなぜ政治的活動にあたるのか理解できない女子生徒は、次のように反論した。
「政治的活動とおっしゃいますが、ポスターには特定の党を応援していますとか、そういう言葉は書かれていないですよね。それに、参院選について知ることは国民として当たり前のことじゃないですか」
しかし、結局、ポスターは剝がすことになってしまった。納得がいかない女子生徒は、このポスターを含めた今回の経緯をSNSに投稿。すると、事態は一変する。
「翌日に、生徒指導部長の先生からナイーブになりすぎていたと、私の認識に誤りがあったという風に言われて、こういう活動は全然していいよと言われました」
さらにその後SNSに、末松(文部科学大臣から、「大変素晴らしい活動だ」などとメッセ―ジが届いた。
今回のニュースについて、ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した東京工業大学の准教授・西田亮介氏は、「日本の教育現場は政治と教育の中立に大変敏感だ」と指摘するしつつも「政治を学ぶことができる場作りも重要」と述べた。
「日本の教育の現場というのは、政治と教育の中立に対して大変敏感なんですね。歴 史的な経緯の中で、学校が、選挙運動とか対立の場になってしまった背景があるからなんです。しかしですが、多くの人が政治について具体的な知識を持っていないというときに、政治を学ぶことができる場作りというのも重要だと思います」
政治の中立性の配慮は大切だが、それも過剰にな配慮しすぎると若者の選挙離れが進んでしまうという懸念もある。西田氏は、教育現場で政治を教えるために有効だと思われる方法を次のように具体的な政治の教育も行うべきだと明かした述べた。
「具体的な政治の知識がないと、興味関心を得ることはできません。支持したい政党や候補者がいて初めて投票することになりますから、そっちを作っていくという経験も教育の場でやるべきだと思います。また、政治家は学校や教育委員会に対して、何かあると電話をして物凄くプレッシャーをかけます。親もすぐクレームを入れる。そういったものから学校現場を守ることが必要だと思いまです。例えば、“これはダメ”ということをあげたネガティブリストを作るやり方が案外いいのかなと。“リスト以外のことは教育の裁量に含まれるからいいんですよ”ということをきちんと言ってあげれば、自由闊達な政治教育ができてくると思います」
(『ABEMAヒルズ』より)
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