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 EAFF E-1サッカー選手権は、”国内組”にとって11月21日に開幕するカタールW杯に向けた格好のアピールの場である。ここで森保一監督に必要な戦力と認めさせた選手が、欧州組が中心になると見られる9月の欧州遠征に招集されて、W杯メンバーに入るためのラスト・サバイバルに挑むことになるはずだ。

 選ばれた26人のうち、32歳のMF水沼宏太(横浜F・マリノス)など10人が初招集となった。そのほかにも10年ぶりの復帰となるFW宮市亮(横浜F・マリノス)や東京五輪世代が中心だった2019年コパ・アメリカ以来となるDF杉岡大暉(湘南ベルマーレ)や岩田智輝(横浜F・マリノス)など、非常にフレッシュなメンバーとなった。

 第一の基準は、カタールW杯で最終メンバーに入る可能性が少しでもあるかどうかだろう。そのためには欧州組にもない武器をこの大会で見せ付ける必要がある。実際その可能性を秘めた選手たちが集まった。

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■アピールが期待される注目選手の武器とは?

 いわゆる国際Aマッチデーではない期間に行われるE-1選手権。日本代表がJリーグに所属する”国内組”で臨むことはもともと想定されていた。ただし、森保一監督は今回の選考に際して、W杯経験のあるベテランの選手は招集しないと公言した。

 筆者の質問に対して森保監督は、それがFW大迫勇也(ヴィッセル神戸)、DF酒井宏樹(浦和レッズ)、DF長友佑都FC東京)の3人であることを教えてくれたが、アジア最終予選の正GKをつとめたGK権田修一(清水エスパルス)も今回は招集外となった。

 そうしたなかで、強烈なアピールが期待される注目選手の武器を簡単に紹介していきたい。水沼は右足のクロスがスペシャルで、そこに関しては突破力のある伊東純也や左利きの堂安律といった欧州組を上回る。長身のFWに合わせるボールはもちろん、ゴール前に走り込むスピード系の選手を生かす速いクロスも得意としている。

 宮市は前田大然など欧州組のスピードタイプにも引けを取らない加速力があり、さらに183cmというサイズも魅力。西村拓真(横浜F・マリノス)は本職FWながら現在は4-2-3-1の2列目中央でプレー。J1でここまで8得点という決定力もさることながら、90分で走行距離14km(平均は11〜12 km)という運動量、プレーエリアの広さは”森保ジャパン”にないものをもたらせるはずだ。

 その西村と同じJ1で8得点を記録している町野修斗(湘南ベルマーレ)は”領域展開”がホームゲームのキャッチフレーズで、常にゴールを意識しながら、フィニッシュのポイントを見分けるビジョンを発揮できる本格派ストライカーだ。細谷真大(柏レイソル)はパリ五輪世代からの選出。推進力のあるドリブルや裏抜けに定評があり、それでいて献身的な守備やポストプレーもこなせる。何より周囲から貪欲に学んで、自分の武器に加えていくアップデート力があり、W杯まで残された時間での成長も期待できる。

 中盤の選手にはより攻守の総合能力、国際レベルでのプレー強度が求められる。そこを満たし合う上で、スペシャリティを見せていけるか。例えば野津田岳人(サンフレッチェ広島)は”レフティモンスター”と呼ばれるほどの左足キックを備えている。ワイドにボールを振り分ける展開力も抜群。CKやFKで高精度の左足を生かすことができる。欧州組には久保建英や堂安と言った左利きのテクニシャンはいるが、セットプレーのキッカーが固まっていない。現代サッカーでは、得点の40%近くがセットプレーからもたらされると言われており、特にW杯のような短期決戦では大きな鍵を握る。野津田がE-1で左足の能力の高さを発揮すれば、大きなアピール材料になることは間違いない。

 そのほか、ボランチでボール奪取力と前に運ぶ能力を兼ね備えたパリ五輪世代の藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)、対人戦で圧倒的な強さをほこり、組み立て能力もある岩田(横浜F・マリノス)、二次予選まで”森保ジャパン”の主力を担っていた橋本拳人(ヴィッセル神戸)など、この大会の活躍次第では欧州組がベースの中盤に割ってはいるポテンシャルを備えた選手が揃っている。

 最終ラインは右サイドバックの山根視来(川崎フロンターレ)と谷口彰悟(川崎フロンターレ)というアジア予選に参加した常連メンバーも選ばれているセクションだが、それだけに右サイドであれば小池龍太(横浜F・マリノス)、センターバックであれば荒木隼人(サンフレッチェ広島)などが山根や谷口に勝るとも劣らないパフォーマンスを見せれば、そのままアピールになる。

 また過密日程や試合ごとに相手の対策が変わるW杯では、個のスペシャリティに加えて複数のポジションをこなせることも評価ポイントになる。小池龍太は右サイドバックに加えて左サイド、さらにボランチでも高水準のプレーができる。大南拓磨(柏レイソル)は日本人離れした身体能力とスピードをセンターバックとサイドバックの両方で発揮でき、3バックにも対応できる。

 ただ、山根が「勝って自分のプレーをアピールするということが一番大切だと思うので、チームとしてどういうプレーが必要かも大事だと思いますし、必ず優勝したい」と語るように、チームとして結果を残さなければ、個人のアピールも半減してしまうだろう。2013年大会以来の優勝を果たし、一人でも多くの選手を9月の欧州遠征、さらにカタールW杯へ送り込めるか。大注目の大会が幕を開ける。

文/河治良幸
写真/高橋学 

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