「統一教会の皆さんは、何人かは存じ上げています。お付き合いもありましたし、選挙の際もお手伝いをしていただいております」(岸信夫防衛大臣)
きのう岸防衛大臣は、選挙の際に旧統一教会のメンバーからボランティアで電話で投票を呼びかける支援を受けたことを明らかにした。「選挙なので支援者を多く集めることは重要」と述べ、「問題はない」との認識を示した。
また、警察庁を所管する二之湯国家公安委員長は2018年、参議院決算委員長当時に旧統一教会の関連団体のイベントで実行委員長を務め、スピーチをしていたと明らかにした。閣僚をはじめとする政治家は、なぜこのように旧統一教会と関係を持つのだろうか。テレビ朝日政治部官邸キャップの山本志門記者は、その理由を次のように語る。
「それは双方にとってウィンウィンの関係だから。自民党関係者によると、旧統一教会側のメリットとしては、例えばさまざまな場でスピーチなどをしてもらうことによって、(信者に)『政治家が来るぐらいの宗教だから大丈夫だ』と(思わせられる)。いわば、“広告塔”のように使う。一方で、自民党議員にとっての最大のメリットは選挙。信者がボランティアで有権者への電話がけ、あるいはチラシ配りなどをしてくれることで『本当に一生懸命やってくれるんだ』と、ありがたがっている関係者は多い」
自民党の茂木幹事長は「組織的な関係がないことをすでに確認している」と述べ、党としての調査に否定的な考えを示した。こうした中、山本記者は「例えば(一般的な)宗教団体から支援を受けて、無償でボランティアとして選挙の手伝いをしてもらうということについては選挙違反ではない。ただ、問題となりそうな宗教団体に支援を受けている政治家が有権者に支持されるのかどうか、国会議員としてそれがあるべき姿なのかは問われてくる」としている。
こうした問題について、ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、臨床心理士・公認心理師で明星大学心理学部准教授の藤井靖氏に話を聞いた。
ーー自民党の茂木幹事長は「組織的な関係ではない」と話していましたが、藤井先生はどのようにお考えですか?
「僕は会見を見ていて『怖い』と思った。仮に自民党と組織的に関係があって個人のつながりも生まれたのであれば、ある種の『組織の病理』が前提あると考えられる。しかし、それがないと言うものの、これだけ献金を受けている人がいる、イベントに出席した人がいる、コメントを出した人がいるので、繋がりがあることは確か。そうすると、個々のオルグ(勧誘活動)を経て関係ができたということで、関係を持とうとする組織の力は色々な意味で強くて根深いのではないかと感じた」
――政治家は選挙のため、票集めのためという大義名分があると、こうした問題について思考停止に陥ってしまうところがあるのでしょうか?
「政治家の皆さんはとにかく選挙で通ることが目的だから、“自分に対して支持をしてくれる可能性のある人はすべて受け入れる”くらいの気持ちでやっていかないと、なかなか当選に結びつかないという発想があると思う。私たち有権者としては『そこはもう少しちゃんと見てくれよ』という思いはある」
「一方で、心理学的に考えると、問題のある宗教や組織、団体に『この人を勧誘しよう』とターゲットにされ狙われた場合、そこから逃れるのは難しいと思う。『自分だけはそんなの引っかからないよ』『ハマる人が悪い』と思ってる人も多いと思うが、環境とコミュニケーションが揃えばほとんどの人が引き込まれてしまうという構造や技があるというのが実際。問題のある組織と関わりがないのは、『たまたま途中で気づけた』あるいは『運がいいだけ』という側面もある」
(『ABEMAヒルズ』より)
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