ネット上で立ち上がった、山上徹也容疑者の減刑を求めるオンライン署名。今月15日ごろから始まったこの署名活動は、28日現在、1000人以上の賛同者を集めている。
【映像】「殺人の肯定ではない」減刑求める署名活動を始めた思い
「これは、山上容疑者の非常に辛かった生育環境、境遇に対しての情状酌量、また、非常に真面目で努力家な人柄であり更生の余地が大きいことを訴える署名です。いかなる理由でも殺人を肯定するものではありません」
この署名活動の意図はどこにあるのだろうか?署名を立ち上げた斉藤恵さんは、自身も山上容疑者と同じ宗教2世だと話す。
斉藤さん「(親の信仰していた宗教が)思想的にかなり偏ってまして、その中で育っていくのが自分にとって苦痛であったので、同情が大きかった」
かつての自分と、山上容疑者を重ね合わせ、これまで育ってきた環境や、宗教2世が抱く生きづらさについては同情できる部分も多くあると話す斎藤さん。「減刑」を求める署名の裏には、ある思いがあった。
斎藤さん「減刑というのは、必ずしも『刑期を早めてほしい』という意味ではなくて、統一教会の実態とかそういう宗教と与党の繋がりとか、どういう風に政策にも影響を与えているかとかが全部有耶無耶にされたまま、山上容疑者一人が悪者になって終わりってことになるのではないかと危惧しています。それで居ても立っても居られなくなってしまいました」
事件後、複数の政治家が、旧統一教会から選挙活動で支援を受けるなどの関係を明らかにした。斉藤さんは、問題を有耶無耶にしてほしくないという思いがあったという。
まだ起訴もされていない段階で減刑を求めるのは「時期尚早ではないか?」とネット上がっている疑問の声について、斎藤さんはこう答えた。
斎藤さん「ネットニュースで極刑を求める署名が集まったというのを見て、すぐに減刑を求める署名を立ち上げてしまったっていうのが実際で、知識不足はあったなと思っています。1番多かったのは『いくら厳しい生い立ちでも、そんな人いくらでもいるんだから、それで殺人をいいってことにしちゃったらそれは納得できない』とか、そういうのが1番多かったです」
「反論のコメントも『殺人を肯定している』みたいなものがつけられたんですが、殺していいとは思ってません。ただ(安倍元総理がビデオメッセージを送るなどで)繋がりがあったことは確かなので、その点は明らかにしてほしかったというのはあります」
事件の容疑者への極刑や減刑を求める署名を集める活動が、実際に裁判に影響することはあるのだろうか。ネット投稿に詳しいYouTuber弁護士・藤吉修崇氏は「あまり影響はないと考えている」として、次のように話す。
藤吉氏「私個人の意見としては、あまり影響はないのではないかと考えています。裁判所でこの署名自体が証拠として提出されるのかということもありますし、刑事裁判というのは“予断を排除して望む”のが原則なので、そういった意味で仮に裁判員裁判になったとしても強く影響するということは無いと考えています。ですが、宗教問題などの事実関係を追求する上では全く意味がない行為とは思わないので、議論が巻き起こるという意味で、意義はあると思います」
極刑と減刑。こうした2論の対立がきっかけで宗教問題について議論が巻き起こることは「意義がある」と話した藤吉氏。そうした議論の際の注意点として「減刑を求める人への誹謗中傷が心配です」と明かす。
藤吉氏「基本的に署名を求めることは法律に引っかかることはありませんし、弁護士が(署名)サイトを裁判で証拠として使うことも無いと思いますが、影響力のある方が亡くなってしまったので議論が激化することは予想されます。そうした中で心配なのは、減刑を求める人への誹謗中傷です。あくまでも、今回の事件は“議論のきっかけ”として捉えていただいて、署名活動と宗教問題は切り離して世間が考える議題にしてほしいと思います」
(『ABEMAヒルズ』より)
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