“統一デザイン”で制服の価格ダウンを狙う自治体が増加 こうした動きに現役教師が異議「大事なのは服ではなく学びの権利」
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 年々上昇する「制服」の価格。そんな中、自治体で制服を統一することで価格を抑えるという動きが出てきている。しかし、現役の教師は「そもそも“全員同じ制服を着る”ということに違和感を覚える生徒もいる」と訴える。

【映像】「制服と私服の選択制に」“強制着用“に悩む生徒を守りたい教師の訴え

 ほとんどの人が学生時代、着用した経験のある学生服。学ラン、ブレザー、セーラー服と学校によってスタイルは様々。ただ、その学生服を巡って悩みの種となっているのが、その値段の高さだ。

“統一デザイン”で制服の価格ダウンを狙う自治体が増加 こうした動きに現役教師が異議「大事なのは服ではなく学びの権利」

 公正取引委員会が全国の公立中学校600校に対して行った調査によると、制服の購入費用は年々上昇しており、約10年で平均5000円も高くなっている。原因として、競争が生まれにくい取引実態や、少子化による取り扱い量の減少などがあるとされている。

 そんな中、公立中学校の制服を自治体の中で統一する動きが出てきている。

愛知県春日井市教育委員会・仲野高弘主査「やはり新しい制服の導入というところで課題として上がってきたのは、当然それを購入していただく保護者の方たちの負担面です。これにつきましては、やはり一定のスケールメリットというところもありますし、より良いものが子供たちの元に届くと期待した部分もあります」

 中学校ごとに違うデザインだった制服を自治体で統一することで、購入価格を約1万円近く抑えることできたケースもあるという。春日井市は2023年度の導入を目指している。

 こうした動きは春日井市だけでなく、同じく愛知県の犬山市、福岡県の太宰府市などが統一デザインの制服を導入。静岡・掛川市でも制服の仕様をそろえることを検討しており、価格面だけでなく機能性や多様性を重視し、生徒たちが快適な学生生活を送るための課題解決に取り組んでいる。

“統一デザイン”で制服の価格ダウンを狙う自治体が増加 こうした動きに現役教師が異議「大事なのは服ではなく学びの権利」

 一方、たびたび議論となるのが「そもそも制服は必要なのか?」という問題。春日井市が行ったアンケートによると、教師や保護者の8割以上が「制服があった方がよい」と答えている。ただ、制服を支持している人の割合が高い大人たちに対して、実際に制服を着ている中学生の約4割が「ない方がいい」と回答。「私服も含めて選びたい」などの意見も寄せられた。

仲野主査「各校で校則というものを定めておりますので、校則に則した形で一定の社会性を学ぶという部分でルールが必要ということは皆さんご理解いただけると思います。『私服でいいですよ』というふうにはしてはいないというのが現状ですね」

“統一デザイン”で制服の価格ダウンを狙う自治体が増加 こうした動きに現役教師が異議「大事なのは服ではなく学びの権利」

 春日井市では今のところ「私服を認めることはない」とのことだが、現役の教師である西村祐二さんは、生徒に一律で制服を着用させる方針に異を唱えている。

西村さん「“価格を抑えるため”という大目標ですかね。それには賛成なのですが、市内で同じデザインの服を着させる必要はあるのかなと思います。嫌がる子にも『その服装をしろ』という教育ではなく、お互いに自由を認め合えるような環境こそがこれからの時代に求められている世界じゃないかと思います」

 「全員同じ制服を着る」ということに違和感を覚え教室に入れなかったり、制服そのものに拒絶反応を起こして不登校に陥ってしまった子どもたちを見てきたという西村さん。最近増えてきている“ジェンダーレス制服”にも困惑している生徒がいると話す。

西村さん「無理に心の性別を明かすことは“アウティング”といって、(社会でも)大きな問題になっています。そもそも当事者は(ジェンダーを)知られたくない、そして紛れたいんです。だからまず『どちらでも選べますよ』と言われたときに、もし違うタイプを選んだことで『もしかしたらバレるかもしれない。バレるのが最悪だから、むしろ選べない』というのです。そういう子たちに何が一番いいの?と聞いたら、やっぱり私服となるのです」

「学校制服は社会性を学ぶ教材のひとつ」だという意見もあるが、西村さんは、制服か私服を自由に選べる選択制にすべきで、大切なのは「服ではなく学びの権利」であると訴える。

西村さん「決められたデザインの制服が着られませんというだけで、その子の3年間の学びが学校からはく奪される。これは社会的な死を宣告されるようなものです。大事なのは“授業に集中できること、学びのパフォーマンスが上がること”です。その目標の方が大きいとしたら、やっぱり中には制服を着ることによってどうしても集中できない子がいるわけですから、そういった日常生活の中から選択肢を広げたほうが皆のためになるのではないかなと思います」

(『ABEMAヒルズ』より)

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