「ブームに飛びついた新しいもの好きが…」“NFT”所有目的はコレクションや投資目的 一般的に活用されるための課題は?弁護士に聞く
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 高額なやりとりが話題となった「NFT」。その盛り上がりに限界が見えているとの指摘が出ている。NFTバブルは崩壊へと向かっているのだろうか。富裕層に対する法務サービスを手掛ける弁護士に話を聞いた。

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 今月、ティファニーは世界で最も有名なNFTアートコレクションの一つ「クリプトパンクス」の所有者に同じデザインのペンダントを販売すると発表。価格は1つ30イーサリアム(約680万円)とそれなりの価格だったが、販売開始から数十分で250個が完売した。

 ファッション業界大手も参入するなど、急速な市場の拡大を見せているNFTだが、ロイターは「いま大きな打撃を受けている」と指摘。

 NFT取引所最大手のオープンシーでの取引額が、5月の26億ドルから6月には7億ドルに急落したことや、250万ドルで購入されたTwitterの共同創業者ジャック・ドーシーによる最初の投稿もその後は数千ドルの価格しかついていないことなどに触れ、「かつての輝きは全く失われてしまった」としている。

 仮想通貨と同じブロックチェーン技術が使われ、将来性もまだまだ不透明なNFT。数億円単位の取引が話題となったNFTの盛り上がりは一時的なものだったのだろうか。岩崎総合法律事務所の岩崎隼人弁護士にその現状を聞いた。

「問合せ件数は特に変化ない認識ですが、若干少なくなってきたかなというところではあります。ブーム感でいうと、過熱感が引いて取引量自体は減っているようですが、今後また盛り上がりを見せることもあるのではないかと思っています」

 今やアート業界だけでなくゲームスポーツなど、活用の幅を広げているNFTについて、消費者庁でもその動向について議論が勧められている。

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 そこで使用された調査によると、NFTの所有目的の1番がコレクション。次いで値上がりによる利益となっている。持つことに価値を感じている人のほか、投資目的での購入も多い中、注意すべき点について岩崎弁護士は次のように述べた。

「最も問題になるのは、NFTアートの取引がいったい何を意味しているのかというところだと思っています。目に見えない“デジタルなもの”の取引になりますから、移転するといったときに果たしてそれはどのような権利が動いているのか、設定されているのかということを明確にして、認識して取引することが大事。NFTアートの関係で言うと“公衆送信権”“複製権”“氏名表示権”が重要になってくると思っています。

 公衆送信権は、著作物を公衆向けに送信することに関する権利。NFTアートを売却するとなったときにインターネット上に公衆送信しないとできませんので、公衆送信権が買主に付与されていないと売ろうにも売れなくなってしまう。プラットフォーム上では規約において、売却するときには公衆送信できると、あらかじめ書かれているケースが全てだと思っています」

 しかし、先ほどの三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査では、NFT購入時のコンテンツの利用可能範囲について、約25%が「内容を確認したがわからなかった」と回答。消費者側の知識や法的な整備も含めNFTが一般的に活用されるための課題は残っていると岩崎弁護士は話す。

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「高額な取引をする方とか頻繁に取引する方とか、そもそも業界に深く関わっている人たちは、私の感想レベルですけどみなさん理解されているのではないかと思います。ただ一方で、ブームに飛びついて新しいもの好きというか好奇心で、よく考えずに『とりあえず少し買ってみよう』という人はそれなりにはいるんだと思います。

 いろいろな情勢も相まって取引が下がっていますけど、メタバースの進展なども含めて状況次第ではまた盛り上がりをみせると思います。現状の法制度の下では法的保護が十分ではないという側面は事実あると思うんですね。法的保護の十分制は本来財産的価値にも影響を及ぼすものですから、今後トラブルが生じて法的保護の不十分性が社会問題になるとか、浮き彫りになってしまうと市場全体にも悪影響を及ぼす可能性はあるのかなと思います」

 まだ課題は残っているというNFTだが、日本と海外で盛り上がりの温度差はあるのだろうか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演し、長期間ニューヨークに取材に行っていたというPIVOTチーフ・グローバルエディターの竹下隆一郎氏に話を聞いた。

「海外と日本というよりもNFTで盛り上がっている人とそうじゃない人の温度差はある。ニューヨークでNFTに興味なさそうな人(世界中の1万5千人)にインタビューしたら『なんか変な人たちがやってきた』というのもあった。ただ、NFTのバブル崩壊、暗号資産や仮想通貨の問題点が指摘されているが、それでも『新しいインターネット文化を作っていくんだ』というある種の熱気をアメリカで感じた」

 一方で、NFTやメタバースなど“投機的な目線で見ている人”が結構いると思われるが、それが本当の意味でのWeb2.0からWeb3.0になるのだろうか。

「この議論で気をつけなければならないのは、Web2.0と3.0が共存していること。そもそもインターネットというのは個人が力を持って政治や企業などに参加ができるようになるのがポイント。投機的な意味でやっている人もいるが、そうじゃない文化というのも出てきている。本気でweb3.0やNFTをやっている方や、あるいは弁護士や政治家の人たちは今苦しい時代だけど新しい文化を作ろうとしている面を見ることはできる」

(『ABEMAヒルズ』より)

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