「無駄や矛盾が多く残念だった」旧統一教会の記者会見に参加したフランス紙特派員 茂木健一郎氏も「がっかりした」
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 10日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長が日本外国特派員協会で2度目となる会見を開いた。

【ノーカット映像】司会が制止も発言を続け…旧統一教会の田中富広会長が記者会見

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 会見では、予定時間を超える田中会長の発言に、司会を務めた神保哲生氏が3度にわたり制止する場面も見られた。仏紙「リベラシオン」特派員の西村カリン氏は「本来の記者会見の目的とはかけ離れた状況になってしまって、本当にがっかりしている」と話す。

 「まず、冒頭発言が逐次通訳も含め40分と長すぎた。我々記者としては、自分の知りたいことを直接質問できることが大事だ。質問したい気持ちがどんどん強くなって、我慢できない状況だった。質疑応答の時間は20分しかなく、無駄が多かった。山上容疑者本人の家庭についての質問もできなかったし、家族の主張に対して、どう応えたのか、といった説明もなかったのは残念だった」(西村氏)。

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 また、田中会長の発言の大部分はメディア報道への批判に割かれた。

 「山上容疑者には過去数十年にわたる教団への恨み、怒りがあったと報じられているし、なぜそうなったのかを理解させるため、過去のことを報じることは必要だ。フランスもそうだが、海外では90年代に様々な問題があったことは知られていない。また、私は独自に教団への取材も行ったが、強調されたのは“友好団体は政治的な活動をしているが、自分たちは全くやっていない”ということだった。しかし今日の会見では、やっぱり反共産主義的な立場であるということをハッキリと言っていた。政治的な活動はしていないが、反共産主義の活動はしているというのは矛盾だと思う。これは宗教ではなく、政治ではないかと思った」(西村氏)。

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 田中会長の発言の後に質問に立った西村氏は「(冒頭の謝罪の後は)何も悪いことはしていないという、意味のことを長いこと言っていた。謝罪の意味は?」と質問。これに田中会長は「2009年以降の、いわゆる負の部分がクローズアップされて報道されております。そのことが今日においてもメディアを騒がせ、そして多くの混乱を招いているということに対する謝罪です」と答えている。

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 この回答についても西村氏は「やはり謝罪の意味は未だによくわからない。これも矛盾だと思う。そもそも海外マスコミ向けの会見だったとしたら謝罪の意味はあるのだろうか。海外と日本とでは謝罪の意味が違うし、読者も混乱すると思う。おそらく海外メディアは謝罪の部分をそれほど重視せず、政治的な状況の部分などの方を記事にするのではないか。私であっても、日本メディアのように謝罪したことを“速報”として出すことはないだろう。また、国内マスコミにも向けられた会見だったとしても、やはり謝罪したのは疑問だ」と批判した。

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 会見を全て見ていたという脳科学者の茂木健一郎氏は「日本社会からどういう風に見られているか、皆が素朴な疑問を抱いていることをどう思っているのか、肝心なことは教えてくれず残念だったし、あまりに一方的でがっかりした。また、山上容疑者の家庭に自分たちが影響を与えてしまっているということについての自省の念が感じられなかった」とコメント。

 さらに元日本経済新聞記者で作家の鈴木涼美氏は「もちろん信者の子どもがいじめられるなど、個人攻撃をするのは不当だし、今まで報道されてこなかったことにはメディアの怠慢もあると思う。ただ、前回の記者会見では被害者を取材してきたフリージャーナリストなどがシャットアウトされていて、“会見をやった”という既成事実のためにやったように思えた。改善をして、今はやましいことがないというのであれば、もっと情報公開すべきだと思うし、それが無く不可解な点が多いからこそ憶測のような報道になってしまう部分もあると思う」と話した。

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 一方、同じく会見を見ていたというパックンは「西村カリンさんの言う通り、全くもって消化不良だった」としつつも、「メディアが聞き入れるべき点もあるのではないかと思った。バランスの取れている報道ばかりではないし、過去に起きたことが現在も続いているという印象を受けかねないものもあると思う。安倍元総理が殺されたショックの矛先が、山上容疑者ではなく教団に向けられているようにも見える」との見方を示していた。(『ABEMA Prime』より)

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