8月11日、神奈川・横浜武道館でプロレスリング・ノア最強を決める年間最大のシングルリーグ戦『N-1 VICTORY 2022』が開幕した。今年のN-1は全16選手がA、Bブロックに分かれて総当たりリーグ戦を闘い、両ブロック1位通過選手が最終戦の9・3エディオンアリーナ大阪第1競技場大会で優勝決定戦を行う。

 開幕戦となるこの日のメインイベントは、Aブロックの藤田和之と潮崎豪が対戦。両者は今年の4・30両国国技館で藤田が王者、潮崎が挑戦者の立場でGHCヘビー級タイトルマッチを闘う予定だったが、藤田が新型コロナウイルス感染のため王座返上したことで中止。今回、N-1公式戦としてあらためて対戦することとなった。

 コスチュームを自身のルーツであるアマチュアレスリングのシングレット風に新調。肌は浅黒く日焼けし無精髭をたくわえ、さらに精悍さと凄みを増した藤田は絶好調そのもの。序盤からパワーとレスリングで攻め立て、監獄固めや足4の字固めで潮崎の機動力を奪い、試合の主導権を握る。

 潮崎も強烈なチョップや豪腕ラリアットを爆発させて反撃を試みるが、藤田はこれをしのぐと逆に豪快なバックドロップで投げ捨て、かつて“霊長類ヒト科最強の男”マーク・ケアーを打ち破るなど総合格闘技PRIDEでも猛威を振るったグラウンド状態でのヒザ蹴りを連発。そして容赦のない顔面へのサッカーボールキックで潮崎の動きを止めると、最後は強烈無比なビーストボムで文句なしの3カウントを奪取。野獣が圧倒的な強さでリーグ戦を好発進した。

 試合後、バックステージでは「需要の問題!結果がすべて!」とギラついた目で吠えた藤田。今春のGHC王者時代は「人間宣言」を行いやたら礼儀正しくなった一方で、ビールをガブ飲みするなどその豹変ぶりが話題となった藤田だが、「結果がすべて」のリーグ戦で、その本来の強さを全開にしてきそうだ。

 セミファイナルでは、Bブロック公式戦で前GHCヘビー級王者の小島聡が杉浦貴と対戦。開幕戦からいきなり激しい肉弾戦を展開し、小島がウエスタンラリアット、杉浦がオリンピック予選スラムと、両者切り札を繰り出したあと、杉浦がフロントネックロックで小島を絞め落とし、8年ぶりの優勝に向けてまずは1勝を挙げた。

 この他、現GHCヘビー級王者の拳王、現GHCナショナル王者の船木誠勝は、それぞれイホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.、岡田欣也を順当に撃破。史上初のV3がかかる中嶋勝彦が因縁のマサ北宮をヴァーティカルスパイクで下したほか、鈴木秀樹が望月成晃に勝利。田中将斗もアンソニー・グリーンをスライディングDで一蹴した。

 おおむね順当な結果が続いたN-1開幕戦だが、番狂わせが起きたのがBブロックの清宮海斗vsジャック・モリス。7・16日本武道館では念願の“武藤超え”をはたし、黒髪から金髪に戻してド派手なコスチュームに変身した清宮は、落ち着いた堂々たる試合ぶりで優勝に向けて好発進するかと思われたが、スコットランド出身で経歴に謎が多い“未知の強豪”モリスのスパインバスターからのタイガードライバーの前にまさかの開幕黒星発進となってしまった。

 下馬評では優勝候補の呼び声が高かった潮崎と清宮がともに開幕戦完敗を喫した今年のN-1。これからも何が起こるかわからない。

写真/プロレスリング・ノア