「こういう襲撃は初めて見た。映画に出てくるギャングのやり方ですやんか」
先月31日、元山口組系「義竜会」会長で、現在はNPO法人「五仁會」代表を務める竹垣悟氏も驚く襲撃事件が発生した。事件が起こったのは群馬県高崎市のとある商店街。飲食店などを紹介する無料案内所を舞台に凶行が行われた。
夜の静かな商店街でひと際目立つ光を放っている看板の前で、突如停車した一台の車。すると次の瞬間、車からは黒ずくめの覆面5人組の姿が。ゴルフクラブや消火器などの武器を手にした5人組の一人が看板をなぎ倒すと、なだれ込むように店内に突入。各々が手にしていた武器で店内の壁やパネルを手当たり次第に破壊。防犯カメラには得体の知れない黒い液体をまく様子も収められていた。襲撃開始からおよそ20秒後、5人組は素早く車に乗り込んで急発進。その場を後にした。
その様子を映像で確認した竹垣氏は「身のこなし方とか見たら、年寄りはあんな機敏に動けませんわ。若手の組員か半グレか、その関係者かはわからないが」と驚いた様子で語った。
しかし、一体なぜこの無料案内所で破壊行為が行われたのだろうか。同じく犯行の映像を確認した元埼玉県警捜査一課の刑事である佐々木成三氏は「統率感はない」と指摘。「1分もかからず現場から逃げていることを考えると、嫌がらせや報復かもしれない」と続けた。また事件発生と同じ時間帯である20時頃、実際の現場となった高崎中央銀座商店街にある無料案内所へ向かった佐々木氏は、生々しい襲撃の跡が残る店内で店長に話を聞いた。
「犯行の計画はおそらくプロ」
そのように切り出した佐々木氏は理由について、犯人らが乗りつけた乗用車のリアガラスが割れていたことに着目。盗難車である可能性を挙げ「カメラには映る前提だった」と推測。また、そのうちの一人が襲撃には使用しない消火器を手にしていたことについても「車に証拠隠滅のために噴射することがある。もしかしたら(盗難車はすでに)捨てているかもしれない」とも述べた。
店主によると、被害に遭った店舗を含めて、高崎で3店舗の無料案内所を経営しているという。さらに驚いたことに、過去3年で6回も同様の被害に遭っていることを明かした店主は「個人的には『もう出ていけ』と言われているようだ」と不安を口にした。
そもそも無料案内所とはどのような場所なのか。風俗実話誌「俺の旅」シリーズ編集長の生駒明氏は「お客様の要望を聞いて、好みに合ったお店や女の子を紹介するシステム。フリーペーパーをアナログ化したもの。お店を紹介するパネルを掲示することによって掲示料をもらう。プランは様々あるが、だいたい3万円とかになる。そのほかにもお客さんを1人紹介したら3000円バックなども」と説明する。
案内所が増える背景については「キャバクラやガールズバーなどは“ぼったくり防止条例”などの規制強化の関係で、直接路上での客引きができなくなっている。案内所は『紹介してください』というから紹介する。水商売や風俗店側からすると、団体客を送ってくれるのでありがたい。使う側も利用する側も非常に助かるシステム」と補足した。
その後、佐々木氏が近隣で聞き込みを行うと「昔なんかもっと酷かった。サラシを巻いて、短刀持って歩いてる人もいた」との証言。一方では、事件について触れると「わかりません」とただ繰り返す人もいた。そのうえで佐々木氏は「あそこのお店がなんでやられたのかを周りは知っている。だから言えないのでは。そういう事件なんです」と確信を持って指摘する。襲撃された案内所に広告を出している隣のキャバクラの従業員は「悪い噂などはなかった。なさ過ぎたので(事件が起きて)逆にビックリした」と襲撃事件について本音を漏らし、あるキャバクラ店のオーナーは「少なからず儲かっているというイメージがあるのでは。箱さえ空いてれば入れるという考えもあるのでは」と応じた。
実は被害に遭った無料案内所の会社は東京府中市に拠点を構えている。およそ10年前に高崎に進出して3店舗を構えるようになったという。
一歩踏み込み、核心に迫った佐々木氏は「警察的な感覚で言うと、3年前からお店を狙うきっかけがあったのではないか。心当たりは?」と被害店主に投げかけた。すると店主は「オーナーが“みかじめ料”などを断った」と心当たりを明かした。
その問題と一連の襲撃事件に関連があるかはわかっていないが、前出の生駒氏は「いまはチェーン展開しているグループは多い。東京のノウハウを地方に持ってきており、都会で磨いたノウハウは非常に有効で、地方に行くと独り勝ちしてしまう」と説明。さらに竹垣氏も「上州(群馬)というのは発祥の地みたいなもん。その縄張り内で3店舗もフリーでやってると言ったら、そりゃぁ度を超えたこともやるだろう」と述べた。最後に佐々木氏は「払わなかったらこうなるんだぞ、というのを見せしめでやっているような犯行に感じる。それが(みかじめ料の請求)原因であれば、警察は力を入れなければダメ」と締めくくった。
襲撃された無料案内所は警察に被害届を提出。現在、捜査が進んでいるという。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側