暑さ対策に今や欠かせない「ハンディー扇風機」。持ち運びにも便利なグッズだが、1秒で涙が蒸発してしまい、ドライアイや視力低下につながるおそれもあるという。
台風が通り過ぎ、全国的に暑さが戻ってきた。きのう、兵庫県豊岡市では38度を観測。34度を記録した岐阜県各務原市の水族館では、動物たちにスイカがプレゼントされた。東京都心でも、最高気温34度を観測(※最高地点東京・気象庁より)し、厳しい暑さが続いている。
そうした中、街で目立つのがハンディー扇風機を使う人の姿だ。暑い日が続き、多くの人が手にするようになった一方で、眼科医の有田玲子医師は“ある危険性”を指摘する。
「ハンディー扇風機の当て方によってはドライアイになったり、角膜に傷がついたりするケースが増えている」
特殊な方法で目を撮影してみると、眼球を覆う涙が反射しているため、黒目が緑色に見える。まばたきを止めて目が乾燥し始めると、徐々に黒い部分が現れる。この際に、まばたきから5秒以内に目が乾き始めるとドライアイの疑いがある。
それを踏まえた上で、有田医師がハンディー扇風機の風を女性の顔に1分間当てる研究を行った。すると、いずれの人の目もまばたきからわずか1秒ほどで涙が乾き始めるという結果が出た。
「まばたきを8秒くらい我慢できていた方が、1秒未満しか目を開けていられない状況になっていた」(眼科医・有田玲子医師)
1秒ほどで起き始めたドライアイの兆候。ハンディー扇風機の風を顔に当てているつもりが、実際は目に直撃してしまっている人が多いようだ。有田医師は、症状に気づかない人が多い点も懸念している。
「全く症状がなくて、(目に)傷がある人がいる。視力が落ちるまで気が付かず、病院に来るのが遅れるケースはあると思う」
また、コロナ禍ならではの危険性もあると有田医師は話す。
「マスクとハンディー扇風機という組み合わせは、涙を飛ばすリスクがかなり高い。マスクをしているところが暑いので、肌に(風が)当たると気持ちがいい。そこで、目の周辺に(扇風機の)風がいきやすい」
それにスマートフォンが加わると、さらにリスクは高まる。
「ハンディー扇風機を使って、スマホも片手に持っている人を見ると、『危ない、危ない』って思う。ハンディー扇風機の風で涙を飛ばして、スマホを見ながらまばたきが不完全になっている。そのおかげで、余計に涙が出ない」
有田医師によると、ドライアイ関連の症状を訴える若い世代の患者は、去年と比べて5倍以上に増えている。実際に、街でハンディー扇風機を使う人たちに話を聞いた。
――ハンディー扇風機によるドライアイの実感はありますか?
「冷房と扇風機の風で、目も乾燥していると思うことはある」(女子高校生)
「ちょっとだけ怖い。だけど暑さには敵わない」(女子高校生2人組)
ハンディー扇風機の使用で、知らず知らずのうちに忍び寄るドライアイの危険性。放置すると、深刻な症状につながるおそれがある。
「角膜が傷になってしまうと視力が落ちる。その後、失明するような病気を引き起こすこともある。ドライアイを“単なる渇き目”だと思って軽く考えていたら、ちょっと危険」
(『ABEMAヒルズ』より)
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