EXIT兼近「“年上世代を支えるために子どもが必要”って言われるのはすごい嫌」 少子化を食い止めるには? 岸田内閣最年少・小倉少子化担当大臣に聞く
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 去年の出生数は過去最少の81万人、減り続ける人口。そんな中、今回の内閣改造で少子化担当大臣となったのが、第2次岸田改造内閣最年少、41歳の小倉將信氏だ。

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 2007年に少子化担当大臣が設置されてから15年。出産や育児支援、男女共同参画、教育無償化など、多くの政策が実行されたが、未だ出生数は下がり続け、出生率も上がっていない。

 この難局に小倉大臣はどう挑むのか。18日の『ABEMA Prime』では、EXIT兼近大樹や米・イェール大学助教授で経済学者の成田悠輔氏らが疑問や意見を本人にぶつけた。

■成田悠輔氏「子どもを1人生んでもらうために1000万円くらい投下してもいいのでは?」

 少子化が進む現状に対して、「結婚をしたい若い人たちの出会いの機会がない」「出産を希望していてもなかなか妊娠に結びつかない」「子どもを2、3人持ちたくても経済的な理由でなかなか生めない」「キャリアと子育てのどちらかで二者択一を求められてしまう」と課題をあげる小倉大臣。また、「政府の少子化対策の目標である希望出生率1.8と、今の出生率1.3ではギャップがものすごくある」と危機感をあらわにする。

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 では、予算に限りがなければ出生率は上がるのか。成田氏は「お金で解決する方法はあると思う。つまり、ベビーシッターとかをガンガン使って、働きながら手助けをしてもらって子どもを育てると。お金をジャブジャブに付ければ解決する問題だという気もする」と問題提起。

 フリーアナウンサーの柴田阿弥も同様に思うところがあるといい、「児童手当には所得制限があるが、お金に余裕のある世帯に多く生んでもらうというのも大事だと思うので、それの撤廃。他にも、妊婦健診は病気ではないという理由で健康保険が使えないので、毎回1万円くらい払って14回通院しないといけない(補助券がない場合)。それらを42万円の一時金で賄えるかと言われると意外とそうではなくて、ネットや友達の話を聞く限り、体にあれほど大きな不調が起こっているのに保険適用が効かないというのは冷たく感じる。そういったものを変えていこうという具体的な構想はあるのか」と疑問を投げかける。

 小倉大臣は「所得制限に関しては、これから年収960万円と1200万円というのが1つのボーダーになる。ただ、東京の場合は生活費が他県に比べて非常に高いので、年収が1000万円あっても、子どもが複数いる場合には生活が厳しい家庭もあると思う。そこは所得制限のあり方を考えていかないといけない。出産一時金に関しては、今は平均すると42万円だが、実態を見ると5万円ほど低く、その分はカバーしなければいけない。また、出産は病気ではないという位置づけだが、体にいろいろな不調をきたすのは同じだ。大変な思いをして出産されている方に対する支援をもうちょっとやらないといけないというのは、そのとおりだと思う」と答えた。

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 また、成田氏は「子どもが1人生まれたら、平均的には一生に数億円は稼ぐわけなので、税収で数千万円は国に落としてくれることになる。そう考えれば、子どもを1人生んでもらうために1000万円くらい投下してもいいのではないか? 出産一時金の42万円は桁が1つ少ないのではないか」と意見を求める。

 これに小倉大臣は「出産一時金と多子世帯に対する支援だけではなくて、育休の給付金、非正規やフリーランスの方に対する支援といったものを足し合わせていくと、結構な額になるのは間違いない。岸田総理も将来的には子育て予算を倍増したいということは言っていて、今の予算はGDP比で1.7%くらい。諸外国は3%くらいなので、倍増すれば先進国に遜色ないくらい“子どもにしっかりと予算を使っている国だ”と言えると思う。年間80万人子どもが生まれていて、1人あたり1000万円だとすると8兆円。来年4月にできるこども家庭庁の予算はだいたい4.7兆円で、倍増するとなると数兆円の規模になる。8兆円と言えるかどうかはわからないが、けっこうな額を子どもに割くことはできるのではないかと思っている」と述べた。

■EXIT兼近大樹「“年上世代を支えるために子どもが必要”って言われるのはすごい嫌」

 さらに、成田氏は「子育て支援に関しては、国債を刷ればいいのではないか。さっきも言ったとおり、子どもを生むことに今投資して、人口が増えれば税収が増える。将来の税収を今借りて投資するという、ごく正当化しやすいことだと思う」と意見をぶつける。

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 小倉大臣は「橋や道路を作ったりする時の建設国債といった観点で、“子ども国債”についておっしゃる方もいる。ただ、政府が財政健全化目標を掲げている中での現実的な選択肢として、毎年発生する子ども予算に見合った安定財源の確保は必要になる。国債を発行して“これは子ども予算だ”と言っても、毎年発行すれば当然債務残高も増えていくわけだ。それを国債市場や投資家がどう見るか、金利が上がるのではないか、為替レートに跳ね返ってきて円安になるのではないか、といったリスクを見ながら、政府としては決定をしているのだろう」と答える。

 少子化に対して冒頭、「“年上の世代を支えるために子どもが必要なんだ”と言われるのはすごく嫌。自分の子どもを無償で支えるためだけに生ませるのかよ、自分の大切な子どもを奴隷みたいな扱いされたくない、産んだ時に幸せだという状況が完成されてからじゃないと嫌だ、って思う。昔と違って、今は政策とかお金がどうとか、生んだ後のことを考えるようになって、努力が必要なものになってきた。努力しちゃって“楽しいものじゃない”って刷り込まれてると思う」と率直な思いを明かしていた兼近。

 これまでの議論を受けて、「今あるお金を増やせはしないけどなんとか子どもを増やしていくことを考える、というのはなんとなくわかった。ただ、生みたいけど生めない人をなんとかする以外にも、メリットなく生んでくれる人の存在も必要だと思う。“自分にメリットはないけど子どもがほしい”とか、“結婚して子どもがいることが幸せ”だと今まで思わせてきたわけで、それが破綻してきているのではないか。“結婚や出産ではない、もっと楽しいことがある”と皆が思ってしまっている。お金がない中でそこを具体的にどうやっていくのか?」と疑問を投げかける。

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 小倉大臣は「2つに分けてお答えしたい。まず財源だが、医療や介護、年金は働いている世代が高齢の人を支えているかたちになる。我々は全世代型社会保障という言い方をしているが、ややもすれば子育て世代も今大変な思いをしている中で、その子育て世代を全国民で支えようではないかという議論をしている。子育て世帯だけではなくて、子どものいない方、子育てを終えた方も、それこそ医療や介護と同じように皆で支える中で財源を見つけていこうという話をしている。

 もう1つ、アンケートをとると、30代で子どもを生んだ方で、男性の8割以上、女性の9割以上が『もっと早く生んでおけばよかった』と答えている。私たちはプレコンセプションケアと言うが、自分の人生を考えて、子どもを持ちたいのであればどのタイミングで妊娠・出産をするのかということを、早い段階からきちんと教育を通じて考えてもらう。そういう取り組みも非常に重要だと思う」と答えた。

 成田氏は「兼近さんがおっしゃった話は重要だと思う。子育ては社会的な意義はあるが、辛くて大変で、できれば逃げたいものという前提の話にどうしてもなってしまっている。子どもがたくさん生まれていた頃は、そんな深いことはおそらく考えていなかっただろう。ある意味で“能天気な状態”をどうやったら復活させられるのかということも大事なのかなと思う」と述べた。(『ABEMA Prime』より)

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