8月19日、プロレスリング・ノア最強を決める年間最大のシングルリーグ戦『N-1 VICTORY 2022』中盤戦の天王山、後楽園ホール2連戦の初日が行われた。
メインイベントはBブロック公式戦の船木誠勝vs清宮海斗。7・16日本武道館大会で悲願の“武藤越え”をはたし、N-1初制覇へ大きな期待がかけられていた今年の清宮。しかし、開幕戦で初来日のジャック・モリスにまさかの黒星を喫すると、続く第2戦もマサ北宮に敗北。厳しい連敗スタートとなった。それでも3戦目で、N-13連覇がかかる中嶋勝彦を“武藤殺法”で破り初白星を挙げ、この日、ここまで2勝1敗と好発進した船木誠勝との大事な4戦目を迎えた。
試合は、武藤との一連の闘いを通じてグラウンドレスリングを磨いてきた清宮が序盤、真っ向からレスリングで挑んでいくが、パンクラスの創始者でもある船木はさすがに隙がなく、なかなか切り崩すことはできない。
ならばとドロップキック、ジャンピングニーアタックといった持ち味の立体技を繰り出し、武藤直伝の足4の字固めにいくが、船木は冷静に対処。スタンドに戻って船木の強烈なミドルキックをキャッチした清宮がドラゴンスクリューにいくが、これも船木が踏ん張り、逆に張り手一閃。前半は完全に船木ペースだ。
10分すぎからギアを上げた船木は、掌底からチキンウイングフェースロック、そしてハイブリッドブラスターで勝負をかけようとするが、ここは清宮がギリギリで踏ん張り未遂で終わらせる。
そしてジャーマンから反撃を開始。ついにドラゴンスクリューを決めると、一気にシャイニングウィザード。さらに後頭部へのシャイニングで追撃。そして丸藤正道の虎王を思わせる近距離からの跳びヒザ蹴りを顔面に叩き込むと、最後は走り込んでのスライディング式シャイニングとも言うべき、低空ニーアタックを発射。清宮流のシャイニング・フルコースで、ついに船木から3カウントを奪った。
武藤と同期の船木を破り“もう一人のレジェンド超え”をはたした清宮は、これでリーグ戦2勝2敗。優勝戦線になんとか踏みとどまり「いろいろ追い込まれているけど、勝って俺が頂上に行く姿を見せます!」と、あらためて逆転優勝を誓った。
セミファイナルはAブロックの注目カード、拳王と鈴木秀樹のシングル初対決。RIZINで活躍中の総合格闘家・矢地祐介と自身のYouTubeチャンネルで技術交流を深めるなど、さまざまな格闘エッセンスを貪欲に吸収している拳王は、ビル・ロビンソン直伝のキャッチ・アズ・キャッチ・キャンの技術を誇る鈴木とも、技術と技術で真っ向勝負。
試合は打撃、寝技、投げ技が高度に絡み合う闘いは、あっという間に時間が過ぎていき、両者譲らず熱戦の30分時間切れのドロー。拳王はこれで公式戦3勝1敗1分となり、Aブロックの首位をキープしたが、引き分けという「マイナス1点」を不服としてか、リングを降りると鉄柵を蹴り上げて悔しさをあらわにした。
この他のリーグ公式戦は、Aブロックは藤田和之がアンソニー・グリーンに余裕の勝利。望月成晃が田中将斗を丸め込み公式戦初勝利。Bブロックは杉浦貴がマサ北宮を破り、中嶋勝彦もジャック・モリスから順当な勝利を挙げた。
激しい闘いが続くN-1も公式戦はあと3大会。いよいよ勝負の終盤に突入する。
写真/プロレスリング・ノア