オープンフィンガーグローブ（OFG）での打撃戦の最中、一発逆転を狙った高速バックブローがあろうことかレフェリーを直撃。一瞬グラつくヒヤリとしたシーンに「レフェリーが殴られた！」「よく耐えてるな」と心配の声、さらに顔色ひとつ変えず試合を進行し、いち早く選手の危険を察知。適切なストップなど最後まで貫いた冷静沈着なレフェリングに称賛の声が殺到した。
8月21日に大阪・エディオンアリーナ大阪の第1競技場で開催された「RISE WORLD SERIES OSAKA 2022」。山口裕人（道化倶楽部）とタップロン・ハーデスワークアウト（タイ）のOFGマッチは、3ラウンド、タップロンがTKO勝ちを収めた。フラフラになりながら激闘を見せた山口の気迫とともに、大きな注目を集めたのが選手の裏拳をモロに貰いながらも試合を滞りなく捌き続けたレフェリーの仕事ぶりだった。
RISEの名物となったOFG戦で兄弟揃って"スベらない激闘”を見せる山口兄弟の兄・裕人。試合前こそ解説席に向けてピースし愛嬌を振りまいたが、この日は序盤からムエタイ"42歳の破壊獣”の重いパンチ、蹴り、ヒザと次々と被弾して厳しい展開が続く。開始1分には右フックでフラッシュぎみのダウン、視聴者からは「音がエグい」「見てて怖くなる」という声も聞かれた。
一方的に殴られ、歯が飛ぶ山口に「顔がボコボコだ」と悲痛な声が上がる中、1ラウンド終了間際、タップロンの猛攻にフラフラの山口が渾身のバックハンドブロー。これが「グシャッ」と鈍い音を立ててクリーンヒットしたが、被弾したのは選手ではなく、乱打戦に割って入ったレフェリー。さらにテンプルだった。
一瞬グラつくシーンにコメント欄も「レフェリー殴られたよな？」「もろ入ったよな」と心配の声が殺到したが、当の本人は顔色ひとつ変えず何事もなかったかのようなリアクションで試合をさばき続けた。
山口の劣勢は続くが2ラウンド中盤、カウンターで右フックを合わせタップロンから技ありのダウンを奪う。しかし、目立った反撃はここまで。この日のABEMAのゲスト、YA-MANの「RISEのOFGはより脳が揺れる仕様」という証言どおり、3ラウンドにはいると山口の蓄積したダメージは誰が見ても明らかで、酩酊するようにこの日2度目のダウンを喫した。
それでもニヤニヤと笑みを浮かべながらゾンビのように歩み寄り「掛かってこい」とアピール。不敵な笑みを浮かべた山口だったが、連打で返り討ちにあうとレフェリーが割って入り試合をストップ。試合時間、残り10秒でのTKOとなった。
今回も折れない戦いぶりを見せた山口。敗れたものの「根性がえぐかった」「マジでファイターだ」「勝ち負けは関係ない」と労いのコメントも多い。残り10秒間でのストップに「最後までやらせれば…」という声も聞かれたが、この日の解説陣は口を揃えて「止めるべき。レフェリーのいい判断」と評価。コメント欄も口を揃えて「いい試合、レフェリーよく見ていた」「止めて正解」と、殴られるアクシデントもものともせず冷静な試合裁きを貫いたレフェリーに称賛の声が並んだ。
