将棋のお〜いお茶杯王位戦七番勝負の第4局が8月25日に行われ、藤井聡太王位(竜王、叡王、王将、棋聖、20)が豊島将之九段(32)に95手で勝利した。この結果で、藤井王位はシリーズ成績を3勝1敗とし、防衛と3連覇に王手をかけた。第5局は9月5・6日の両日、静岡県牧之原市の「平田寺」で指される。
藤井王位が無類の強さを見せつけた。先手番で迎えた本局は、これまでの3局と同様に「角換わり腰掛銀」を採用。序盤から随所に工夫の手がちりばめられ、じっくりとした神経戦へと進行した。1日目は豊島九段の手番で指し掛けに。2日目、立会人の木村一基九段(49)が豊島九段の封じ手を開封し、読み上げたのは意表の銀捨ての一手だった。藤井王位にとっても想定外だったか、すぐに応じることなく長考に。しかし王者は動じず、冷静に同歩から左右ににらみを利かせる5筋に角を据えて、豊島九段の構想を伺った。
後手は銀と引き換えに得た「と金」を活かして攻撃を繰り出すも、形勢は徐々に藤井王位側に傾いていく。昼食休憩後、藤井王位が踏み込んでいよいよ攻め合いへ。豊島九段は1時間50分の大長考から反撃を狙ったが、押し返すことはできず、最後は藤井王位が銀成から鋭くに豊島玉を寄せ切ってみせた。
この結果、シリーズは藤井王位の3勝1敗に。防衛と3連覇に向けて大きく近づいく1勝を手にした。局後には、「序盤から見慣れない形になって、局面の判断や構想を立てるのが難しい将棋だった。封じ手はあまり予想していた手ではなかったが、打たれてみるとこちらがどう指せばいいのか難しい形だった。(終盤に)銀を打ったあたりで後手玉にプレッシャーをかけられる形になったか。(最後は)銀成から、玉を引いた形が詰まなければいけるかなと思っていた。第5局は10日後くらいなので、しっかり準備して良い状態で臨めるようにしっかりやっていきたい」と話した。
一方、4期ぶりの王位復位を狙う豊島九段はカド番と苦しい立場に。「封じ手の直前の構想がよくなかった。(歩頭銀は)まずいと思ったが一番可能性がありそうな手と思ったので、ちょっと悪そうな気もしたが仕方がないのかなと(選んだ)。(終盤で相手の桂馬の先に)歩を手拍子で指してしまったのも良くなかった。何回か悪手があり、競り合いにできなかったのが残念」と肩を落としていた。
また、豊島九段は本局が新型コロナウイルス感染からの復帰戦。白星で飾ることは出来なかったが、「皆様にご心配をおかけしたが、体調的には問題なく指せた。また切り替えて頑張っていきたい」と前を向いた。本シリーズに加えて、8月31日には永瀬拓矢王座(29)に挑戦する王座戦五番勝負が開幕。ハードスケジュールの中で、厳しい戦いが続くことになる。
決着か、反撃か。注目の王位戦七番勝負第5局は9月5、6日に静岡県牧之原市の「平田寺」で予定されている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)