絶体絶命からの大逆転!木村一基九段、渾身の粘りで勝利 解説棋士「どう表現していいか言葉が見つからない」/将棋・ABEMAトーナメント
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 将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント2回戦第3試合、チーム糸谷とチーム斎藤の対戦が8月27日に生放送された。チーム糸谷がスコア4-1と勝利に王手をかけた状態で行われた第6局は、チーム斎藤・木村一基九段(49)が、チーム糸谷・黒沢怜生六段(30)に、最終盤で劇的な大逆転。解説棋士からも、黒沢六段が99%勝っていたというほどの内容だったが、決して諦めない姿勢を貫いた木村九段が、わずかな可能性から勝負をひっくり返した。

【中継】チーム糸谷 対 チーム斎藤 個性豊かな棋士が集結(生中継中)

 諦めない者だけが勝つ。そんな勝負の世界の鉄則を見るような将棋だった。黒沢六段の先手中飛車に対して、木村九段が居飛車で受ける対抗形の出だしになったが、木村九段は5筋を中心に押さえ込みに出た。ただ黒沢六段が捌き、かつ戦力を蓄えることに成功すると、反撃に転じてからは長く黒沢六段のペースに。終盤にも解説の遠山雄亮六段(42)から「これはパンチが入った。相当、黒沢さんが行けそうな局面」と、はっきり優勢だと指摘していた。

 ただ、この時に入ったパンチを超える、カウンターのメガトン級パンチが待っていた。最終盤、黒沢六段が木村玉を寄せに行ったが、受けに定評がある木村九段は粘りに粘り、残り持ち時間数秒の中でもしのぎ続けた。すると秒に追われた黒沢六段の指し手が乱れ、大チャンスを逸すると、形勢は木村九段に急転。最後は両者の玉が接近し、熱戦を物語るような盤面になったが、木村九段が勝利を収めた。

 ファンからも「すごいものを見た」「さすが受け師!!」「メガトンクロスカウンター食らった」「すごいよ大逆転!」と興奮気味のコメントが殺到すると、遠山六段も「99%、黒沢六段の勝ちの将棋。この逆転劇をどう表現していいか、言葉が見つからない」と驚きの表情。第1局には、まさかの二歩で反則負けを喫する波乱の出だしになった木村九段だが、そこからは2連勝でこの試合2勝1敗。いくつもの試練を乗り越えてきたベテランが、またも訪れた窮地を乗り越え、大きな感動を生んだ。

◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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