25日、文部科学省は2024年度から、小学5年~中学3年の「英語」にデジタル教科書を導入する方針を固めた。紙の教科書は全教科で配布し、デジタルは英語1教科のみの併用となる。
【映像】なんだかすごい…人気絵本作家・いしかわこうじ氏の作品(画像あり)※9:00ごろ〜
コロナ禍によってあらゆる資料のデジタル化が進み、電子書籍やチケットなどもスマートフォンの画面表示で済むようになった今。ペーパーレス化が進む中、今後、紙はどうなってしまうのだろうか。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した人気絵本作家のいしかわこうじ氏は「デジタルは画面の中を通り過ぎていってしまうものが多い気がする」と話す。
「物として今日も明日も変わらず存在することが子ども、特に小さな子にとってはすごく大事なことなのではないかと思う。僕は1冊1冊子どもへのプレゼントだと思って、心を込めて絵本を作っている。子どもが読むものを、お父さんやお母さんなど、身近な人が『この子が幸せに育つように』と考えてプレゼントする。だから、僕も本の形、厚さ、サイズなど、どうやったら一番いい形で本にできるかを考えて作る。僕の場合は仕掛け絵本を作るのが得意なので、どういう仕掛けにしたらイメージが一番伝わるか。僕はブックデザイナーさんに頼まず、デザインも全部総合的に自分でやっている。1冊丸ごと自分の芸術作品で、それを読んでいただいている。かなり時間をかけて作っているので、そういう密度がお子さんに伝わったらいい」
また、近畿大学情報学研究所所長でKADOKAWA代表取締役社長の夏野剛氏は「出版社の社長として今言えること」として「そんなに紙が不遇だとは思っていない」とコメント。
「うちの会社で言えばデジタルと紙の比率は半々だ。『紙がよくない』と言われているのは、意味のない役所のドキュメントや、会社のモニターに映せばいいのに一人ひとりの席に行って配っている資料だ。デジタル化の話を絵本に持ってくるのは、ちょっと違うのではないか。絵本は子どもに見せるもので、デジタル絵本もあるがあまり流行らない。タブレットなどを早くから子どもに与えてしまうと、違うことをやりだす。だから、絵本の世界では『紙が悪い』なんて言っている人はこの世に存在しないと思っている」
紙と電子書籍の市場推移をみると、紙は右肩下がりで、電子書籍が伸びている。この結果に夏野氏は「数字を見ればまだ圧倒的に紙の方が多い。一方で会社における資料は、圧倒的にこの数年間で紙がなくなっている。自分の端末で見たり、タブレットが会議室においてあってそれを見たりしている。だから、本の話だけではなく、書類全体で話をしないといけない」と語る。
一方で、ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「僕はページ数が多い本を読むときは、紙のほうが読みやすい」とコメント。「寝る前に読む本は紙の方が寝入りやすい。モニター的な物で本を見ちゃうと目がさえちゃう。使い所だと思う」と持論を述べた。
制度アナリストの宇佐美典也氏は「僕はいしかわこうじさんの本をこの数年間で何百回読んだか分からない」といしかわ氏への愛を熱弁。
「いしかわさんの絵本は、子どもとのコミュニケーションを前提に作られている。『本は楽しい』と子どもが認識するきっかけになる。あとはYouTubeやデジタルだと時間管理ができない。特に動画はそうだ。本なら、親と子どものコミュニケーションで時間管理できる。そこはすごくいいと思う」
興奮する宇佐美氏に、ひろゆき氏が「それは別に紙じゃなくてもいいのでは。たとえば、ライオンの指の絵が本にあって、それが紙だと簡単にちぎれてしまう。本自体は便利だけど、紙じゃない方がいいみたいなこともあるのでは」と指摘すると、いしかわ氏は「ウレタンで作った本もある」とコメント。事例として「紙とウレタンをミックスして『どうぶつくみたてパズル』という立体の絵本を作った。そこからパーツを取り出し、組み立てると、動物の作品ができる。先に出した『どうぶついろいろかくれんぼ』の立体版みたいな感じだ。絵本は強度も考えて作ることができる」と答えた。(「ABEMA Prime」より)
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