自分の投稿についた「いいね」の数が気になったり、友人の“キラキラ投稿”を見て傷ついたりする――そんな「SNS疲れ」を起こす人が近年増えている。その原因と対処法について専門家に聞いた。
2000年代初頭から本格的に普及し、今や私たちの生活に欠かすことができなくなったSNS。総務省の調査でも国民の78.7%が利用しているなど、“国民総メディア”の時代がすぐそこまでやってきている。
こうした中で増えているのが「SNS疲れ」を起こす人たちだ。野村総合研究所が今年2月に発表した調査結果でも、15~25歳の50%が「SNS疲れを感じる」と回答、2人に1人はSNSで疲弊している実態が明らかになった。
ネットでも「インスタをログアウトしました。正直、他人が楽しそうな姿を見ていると辛くなります」「いいねが少ないと承認欲求が満たされない」などのさまざまな声が上がっている。
とはいえ、SNSを生活から切り離すのはそう容易なことではない。「SNS疲れ」を起こさず、上手に付き合う方法はあるのだろうか。公認心理師の川島達史さんに話を聞いた。
「人間関係は結構曖昧なところがあると思う。(いいね数など)数字になるとリアリティが増して自分の人気が可視化されるので、そこで傷つくケースがある」
そして現在、ネット上で多く見られるのが「友人の“キラキラ投稿”を見て傷ついてしまう」という声。こうした心理の背景について、川島さんは次のように説明する。
「自己肯定感の不足がある人は『承認欲求』が出てくる。例えば、お腹が減っているときにご飯を欲するのと同じで、自己肯定感が不足している状態は人の承認がすごく欲しくなる。それが他の“キラキラ女子”を見ると、自分の肯定が奪われたような気持ちになっているので、イライラしたり嫉妬したりしやすくなる」
承認欲求は「他者から認められたい」「自分を価値ある存在として認めたい」という願望。あること自体は当たり前だが、強くなりすぎることで自らを客観視することができなくなり、他の人を傷つけてしまう弊害もあるという。
こうした承認欲求を上手くコントロールするにはどうすれば良いのだろうか。川島さんは、対処法についてこう話す。
「例えば『1日1時間』『夜10時以降はTwitterをやらない』などとルールづくりをすることが必要。現実の関係も結構大事で、屈託なく弱みを見せられる人間関係が現実にあると承認欲求が満たされる。ネット上で無理して“キラキラ女子・男子”を演じなくても、十分満たされる」
「他人から評価されるために何かをするのではなく、自分が好きなことややりたいことを見つけて集中していくと、そこまで他人の評価が気にならなくなる。自分が打ち込める好きなことを見つけるのは大事。SNSは文明の利器で孤独を癒している部分もあるので、全く使わない方がいいとは思わないが、自分が幸福になれるいい距離感をもってうまく使ってほしい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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