欧州でも注目される「週休3日制」 日本で導入しやすい“制度”を専門家が推察
日本における「週休3日制」の主なパターン
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 「静かな退職(#quietquitting)」。これは、いまTikTokで流行中のハッシュタグで、Z世代が支持するワークライフバランスを重視した新たな働き方を意味している。実際に退職するわけではなく、要求された仕事だけを行い、時間外労働はしない、仕事とプライベートにより明確に線引きをするという考え方だ。

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 仕事第一の働き方を変える動きは、国レベルでも始まっている。今年、イギリスやスペインでは「週休3日制」の実証実験を開始。きっかけは、アイスランドの大規模実証実験の成功だった。

 2015年から2019年にかけ、労働人口の1%以上にあたる2500人が参加し、給与の引き下げなしに労働時間を週40時間から35~6時間に短縮。すると、労働者のストレスや健康、ワークライフバランスなど、様々な指標が劇的に改善されたという。

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 一方、日本の状況はどうなっているのでしょうか。リクルートワークス研究所のグローバルセンター長・村田弘美氏に話を聞いた。

「(週休3日制の)元々の目的が育児や介護のためであったり、大学院に行くなどの“学びに時間を使いたい”と希望する人への働き方の選択肢の1つとして、企業の方で制度を新しく作ろうという動きです。日本の場合、週休3日制にすると『1日減らす分は給料払いません』という企業があると思います」

 また、1日当たりの労働時間を長くして、その分1日多く休むという方式の「週休3日制」の導入を進めている企業もあるという。ただ、いずれの場合も“労働時間を削減しながら給与は据え置き”とはならないようだ。

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 欧米のように、給与はそのままに労働時間を減らすことはできないのだろうか。「課題となるのは“労働生産性”の問題だ」と村田氏は言う。

「例えばサービス業、日本の宅配便などを見ると分かると思いますが、時間指定が細かくあり、何度もお伺いして指定された時間に適切に郵便物を届けます。飲食店でも、入店すると当然のように『いらっしゃいませ』と言ってくれて、席に座るとお水やお茶が出てきたりおしぼりが出たりなど、いろんなサービスがありますよね。こうした日本の“付加価値サービス”というか、きめ細やかさというのが(労働生産性という観点では)マイナスに反映されてしまっているかと思います」

 日本の“時間当たり労働生産性”は、49.5ドルで、OECD加盟38カ国中23位と低迷している。その背景には「数字には表れない日本の付加価値サービスがある」と村田さんは指摘する。そうした丁寧な仕事に重きを置く日本と、合理的な制度設計を進める国との違いが働く時間に現れているのかもしれない。

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 では、日本で導入しやすい週休3日制はどのようなものなのか。村田氏は、先ほどの例にもあった「1日当たりの勤務時間を長くする方式」がコロナ禍で進んだ働き方にマッチしていると考えを述べた。

「1日あたり8時間働くのではなく、1日10時間にして週の勤務日数を4日にするという働き方、これも成果の量に変化はないので、そこに関しては報酬も変わらず、労働時間も変わりません。“成果量に変化がない”という点で『日本でも移行しやすい働き方』だと思います」

「なぜ移行しやすいのかというと、リモートで働く方たちが多いので、通勤時間を片道1時間と考えると、往復で2時間分、今までの労働時間に通勤時間分を合わせることで実質の労働時間を増やしていくことができるかと思います。そういう意味では(他の案より)どちらかといえば移行しやすいということです」

(『ABEMAヒルズ』より)

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