将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント2回戦第4試合、チーム渡辺とチーム天彦の対戦が9月3日に生放送された。チーム渡辺が3勝1敗とリードして迎えた第5局は、名人経験者同士の豪華大将対決に。佐藤天彦九段(34)が渡辺明名人(棋王、38)に勝利し、巻き返しへの足掛かりとなる勝ち星を奪った。
名人経験者同士の超豪華カードが第5局目にして実現した。両者のABEMAトーナメントでの対戦と言えば、第3回大会予選での対局が持将棋にもつれ込み、ファンに強烈な印象を残した。本局は渡辺名人の先手番で、戦型は「矢倉」に。先手は「一気に攻め倒さないと」と佐藤九段の強靭な受けを警戒。後手は先手の駒組みを見て雁木に備えた。
駒組みが終わると、両者ワイシャツの袖をまくり上げ戦闘態勢へ。佐藤九段が1筋から攻撃を開始すると、角で王手。渡辺名人は銀で応じて攻撃のターンを奪った。香車を無視して歩を打ち込む激しい展開に。渡辺名人が優位に立ったかと思われたが、後手は△3八角から切り返し、逆転に成功した。最後は△1三桂から決めきり、リーダー対決を制して見せた。
解説の藤森哲也五段(35)も「△3八角からの組み立てが美しかった」と佐藤九段の終盤力を絶賛。佐藤九段は「ここで負けるとそのまま持っていかれると思ったので、踏みとどまった方が盛り上がるので、良かったなと思います」とチームのピンチを華麗に切り返した。この結果で、予選から続く個人無敗記録を「7」に更新。「良い将棋が続いていて、ここまでは良く来られている。チーム全員が持ち味を出していかないと勝てない相手。チームの中で気持ちを高めて立ち向かっていきたい」と笑顔を見せた。
一方、スコア3勝2敗と差を縮められた渡辺名人は「中盤はうまくやっていたかと思っていたが、その後優勢の広げ方がわからないままやってしまって、終盤はお粗末な内容となってしまった」とがっくり。「ここで勝てていればかなり有利だったが、負けてしまったのでシーソーゲームになりそう。自分もあと1局あるので頑張りたい」と話した。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)





