将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント2回戦第4試合、チーム渡辺とチーム天彦の対戦が9月3日に生放送された。チーム渡辺の4-2で迎えた第7局は、チーム天彦の佐々木大地七段(27)が近藤誠也七段(26)に勝利し、カド番からの大逆転ベスト4進出に望みをつなげた。
チーム渡辺は勝てばベスト4進出が決まる大一番。勝負どころの第7局は近藤七段が担った。前局までにチームメイトの渡辺和史五段(27)が2連勝と絶好調。渡辺明名人(棋王、38)からは「大先生」の新ニックネームを授けられていた。これに続けとばかりに、「いよいよ近藤先生も復活ですか」と“愛のプレッシャー”を受け出陣した。一方、後がない佐々木七段は「勝つしかない。悔いの残らないように勝ちだけを目指してやっていきたい」とネクタイを外し、鋭い表情で対局場へ向かった。
第4局から先後を入れ替え近藤七段の先手で始まった本局は、先手が矢倉、後手は急戦で素早い動きを見せた。近藤七段は▲4五金と強気な一手から仕掛けると、一気に激しい戦いに。さらに▲5五金と繰り出し優位に立った。しかし、佐々木七段も崩れずピタリと背後に付き、逆転のチャンスを伺った。後手は驚異の耐久力で自陣を再生し、大混戦に。解説の藤森哲也五段(35)も思わず「後手、無限の命!」声を上げていた。
最後は佐々木七段が近藤七段を寄せ切り、大きな一勝を獲得。「自分で終わらせられないと思っていた」とチームメイトに望みをつなぎ、佐藤天彦九段(34)は「よく耐えたね!再生術すごかったね」と労いの言葉をかけていた。一方、逆転負けを喫した近藤七段は「うまく指していただけにもったいなかった。勝ちまで寸前だったが細かいところでミスをしている。情けない」と肩を落とした。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)